「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年4月2日(水)

STAP論文

データ管理ずさん

細胞存在の検証には1年

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 「研究者倫理とともに科学に対する誠実さ・謙虚さの欠如が存在すると判断せざるを得ない」。理化学研究所の調査委員会の報告書で“生物学の常識を覆す発見”と注目されたSTAP(スタップ)細胞の論文について、ずさんなデータ管理の実態が明らかになりました。

 実験条件の異なる画像の取り違え、画像データの切り張り…。調査委は「到底容認できない行為を重ねている。これは研究者としての未熟さだけに帰することはできない」と結論づけました。さらに、3年間の実験ノートが2冊しかなかったことを明らかにし、第三者が小保方さんの実験内容を正確に追跡し理解することが困難な状況だと述べました。

 また報告書は、論文を実質的に指導した発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長と、小保方さんを指導する立場だった若山照彦・山梨大学教授(当時理研)については、不正行為はなかったが、過失によりねつ造を許すこととなった責任は重大だと指摘しました。

 研究不正の再発防止にむけて、チェック機構の検証や、データ管理や研究のプロセスの点検など、具体的措置を急ぐべきだと提起しました。理研は研究成果の責任体制の明確化や研究倫理教育などの緊急対策を取ります。

 不正と認定された論文の著者は、理研と東京女子医科大学、山梨大学、米国の大学の研究者ら8人で、小保方さんによると不適切な部分はネイチャー編集部に訂正論文を提出済み。撤回には小保方さん以外の理研の著者が同意しており、小保方さんやチャールズ・バカンティ米ハーバード大学教授の同意がなくても、ネイチャー編集部が論文を取り消す可能性があります。

 一方、STAP細胞が本当に存在するのかという研究の核心については、今回の調査の対象外でした。小保方さんが所属する発生・再生科学総合研究センターを中心に、約1年間かけて検証を行うといいます。ただ、今回の研究のプロセスの検証について竹市雅俊センター長は「過去にさかのぼって調べることはやれないことはないし、センターは検証したいと考えている。ただ、失われてしまった材料について、もはや検証が不可能な場合が多い」と、困難な見方を示しました。

理研の内規

 理化学研究所は、科学研究上の不正行為の防止のための規定を定めています。

 規定では、研究不正を「ねつ造」「改ざん」「盗用」に分類。悪意のない間違いや意見の相違は含まないとしています。

 ねつ造は、データや研究成果を作り上げて報告すること▽改ざんは、研究資料や機器、過程に操作を加えたり、結果の変更や省略するなど、研究で得られた結果を真正でないものに加工すること▽盗用は、他人の考え、作業内容、文章などを適切な引用表記をせずに使用すること―と定めています。


 STAP(スタップ)細胞 マウスの皮膚や血液などの体細胞に、弱酸性の溶液に浸すなどの刺激を与えるだけでできると、小保方さんらが発表した新型の“万能細胞”。哺乳類では、いったん分化を終えた細胞が分化前の状態に戻る現象(初期化)は起こらないと考えられていたため、「生物学の常識を覆す発見」と世界中から注目を浴びました。「STAP」は、「刺激惹起(じゃっき)性多能性獲得」を意味する英語の頭文字。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって