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2014年3月20日(木)

ロシアのクリミア併合

世界で抗議 孤立鮮明

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 ロシアのプーチン大統領がクリミア半島をロシアへ編入する方針を明らかにし、編入条約に署名したことに、国際的な批判が強まっています。ロシア軍とロシア系武装勢力による軍事制圧の下で実施された住民投票には合法性はなく、この併合は国際法に明白に違反しています。 (片岡正明)


介入は暴力とともに

 プーチン氏が編入条約に署名した18日、クリミア自治共和国の首都シンフェロポリ郊外で1人のクリミア・タタール人の葬儀が執り行われました。クリミア・タタール人はロシア帝国が侵略するまで、クリミア半島を支配していた民族で、今も人口220万人のうち十数%を占めます。ロイター通信によると、殺されたレシャト・アトメフさんは、3日にロシア軍の軍事介入と、ロシアへの併合反対を叫んだクリミア・タタール人の集会に参加。迷彩服を着た3人の男に連れ去られ、遺体となって発見されました。葬儀に集まった300人のうちの一人の男性は「プーチンが来て、このようなことが起こった。内戦のような状態はプーチンの計画だ」と語った、と同通信は伝えています。

 ウクライナに暫定政権が誕生してから数日のうちにクリミアのシナリオは始まりました。ロシア軍とみられる部隊が侵攻し、ロシア系の武装勢力とともに、次々とウクライナ軍や国境検問所を押さえていきました。15日には、クリミア自治共和国に隣接するウクライナの地域で、クリミアに天然ガスを供給する施設を制圧。ウクライナ国務省によると、18日には、シンフェロポリにあるウクライナ軍の基地が襲撃され、ついにウクライナ軍の兵員1人が死亡、2人が負傷しました。プーチン大統領が胸を張る「誰も犠牲者を出していない」状況とはかけ離れています。

足元でも反対広がる

 プーチン氏の足元でも軍事介入反対の運動が広まっています。

 モスクワからの報道によると、市民5万人が同地で15日、「戦争反対」などのプラカードを持ち行進しました。

 17日付のロシア紙ノーバヤ・ガゼエタによると、参加者の多くはウクライナへのロシア軍事介入に許しを請うとともに、「卑劣なやつらがロシア国民に、いくら盗んだか知られないために戦争を始めた」「われわれの戦車が他国にある。これは危険だ」と語りました。

 「プーチンに反対し、知識人として、この状況から出口を見つけよう」―ロシアの文化人、ジャーナリスト、法律家など90人が出した呼び掛けです。

 14日に、英BBC放送ロシア語版などが報じたところによると、同呼び掛けは「ロシアは西側との冷戦に走り、重大な結果も起こりうる。国中に偽情報が満ちている」として、「クリミア併合反対」を訴えました。

 住民投票直前の15日の国連安保理では、クリミア自治共和国の住民投票を無効とする決議が採決されましたが、ロシアだけが拒否権を使って否決となりました。中国は棄権し、ロシアの国際的な孤立が浮き彫りになりました。プーチン氏が編入条約に署名したことに対しては、「住民投票の結果も、ロシア編入も認めない」(オランド仏大統領)、「国際の平和と安全保障への脅威であり、国際法違反だ」(カーニー米大統領報道官)と厳しい批判が出ています。

国際法にも違反する

 ロシアのクリミア編入は、国際法的にも認められません。

 ウクライナは旧ソ連崩壊の1991年に独立、同じ年に、ロシアや旧ソ連諸国でつくる独立国家共同体(CIS)はアルマアタ宣言を採択しています。

 同宣言では「互いの領土保全と現存している国境の不可侵」をうたっています。

 ウクライナの核兵器を撤去する94年のブダペスト覚書ではロシアを含む核保有国が「ウクライナの独立、主権、現国境を尊重する」と明記。また97年のロシア黒海艦隊のクリミア駐留での地位と条件協定でも「主権尊重と内政不干渉」が盛り込まれました。

 ロシアの軍事介入は、これらの協定に違反しています。また「いかなる国の領土保全または政治的独立に対する」武力行為を禁止する国連憲章に反することも明らかです。


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