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2014年3月18日(火)

シリア反政府デモ発生3年

内戦で避難民4割 ■ 死者14万人以上

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 アラブで相次ぎ独裁体制が倒れる中、シリアで最初に政府批判の各都市いっせいデモが発生した2011年3月15日から3年がたちました。平和的デモに対する政府軍の容赦ない弾圧、武装した反体制派勢力による反撃により同国は内戦に陥りました。「人道的破局状況」(国連)は今も深まるばかりで、打開の道筋は一向に見えてきません。(カイロ=小泉大介)


打開の道筋見えず

 「私は弟が何者かの銃撃で殺された後、ここに逃れてきました。いまは一つのテントに家族10人で暮らす生活です。冬の寒さで子どもたちはカゼを引き、不十分な薬や食料のせいでやせ衰えています。こんな絶望的な状況があとどれくらい続くのでしょうか」

 本紙の電話取材に対し、シリア中西部ホムスから隣国ヨルダン北部のザアタリ難民キャンプに1年前に避難してきた男性、ムスタファ・ジアドさん(24)はこう語りました。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の報告(14日)によれば、内戦によりシリア国内外に逃れた避難民は合わせて900万人を超えました。シリア人口は約2190万人(2013年推定)ですから、実にその4割以上が故郷を追われ、明日をも知れぬ苛酷な生活を強いられているのです。

 戦闘による犠牲者増加もとどまるところを知りません。英国に拠点を置く「シリア人権監視団」は13日、死者は14万6065人に達し、3分の1以上が民間人だと発表しました。監視団は死者数は確認できたものにすぎず、実際にはこれよりはるかに多いだろうとしています。

 内戦は複雑化の様相を極めています。イランの後押しを受けレバノン南部を拠点に活動するイスラム教シーア派武装組織ヒズボラが政府軍に加勢。一方の「反体制派」側では、周辺アラブ諸国などからの流入者を含む国際テロ組織アルカイダ系の過激派勢力が幅をきかせ、首都ダマスカス在住の女性人権活動家、サラフ・ムーサさん(34)は「政府軍と同様、恐ろしい戦争犯罪に手を染めている」と指摘します。

 アサド政権と在外勢力中心の反体制派「国民連合」は国連などの仲介のもと、1月と2月の2回にわたり、内戦終結に向けた直接協議をスイスで行いました。しかし、アサド大統領退陣を求める反体制派側と、「テロとのたたかい」が最優先課題だとする政権側との溝は最後まで埋まらず、次回の直接協議の日程も決まっていません。

 この状況下、シリア人民議会(国会)は13日、5月前後に予定される大統領選挙実施のための新たな法律を可決。同法は在外の反体制派指導者の立候補を認めておらず、アサド大統領再選を準備するものだと受け止められています。これを受け、「国民連合」のジャルバ議長は15日の会見で、「われわれは友好国に対し、即座の武器供給をあらためて求める」と述べ、政権との対決姿勢を鮮明にしました。

 国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は14日、「もしアサド大統領が立候補すれば、直接協議の進展は非常に困難になる」と警告。協議再開のため、アサド政権の「後ろ盾」であるロシアとイランに対し影響力を発揮するよう求めました。


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