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2014年3月16日(日)

STAP細胞

科学への信頼を取り戻すために

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(写真)科学誌『ネイチャー』(1月30日付)に掲載された「STAP細胞」についての研究論文

 理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーたちが発表した新型万能細胞「STAP(スタップ細胞)」の論文の重大な誤りが明らかになりました。14日に理研の調査委員会の中間報告が行われ、会見した野依良治理事長たちから「極めてずさんな取り扱いをして、極めて遺憾」「画像を流用するなど、論文の体をなしていない」「科学の常道を逸している」などの発言が相次ぎました。

 中間報告は、万能性を示す証拠として示された画像は小保方さんが博士論文に載せたもので、今回の研究とは違う方法で得られたものであること、遺伝子の働きを示す画像の一部を切り張りしていたことなどを認めました。小保方さんは画像の切り張りを「やってはいけないという認識がなかった」と語っているといいます。

10人以上関わる

 小保方さんに研究者としての倫理観が育っていないことを示すものですが、問題はそれにとどまりません。会見では、論文の作成は主に小保方さんと小保方さんが所属する理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹・副センター長の2人が行ったことが明らかにされました。

 この研究には10人以上の研究者がかかわっており、たとえ小保方さんに研究者としての倫理観が育っていなかったとしても、それらの人たちが論文作成に責任をもって携わっていれば、画像の流用や切り張りは行えなかったかもしれません。

 今回のできごとは、日本を代表する研究機関の一つである理研を中心に起こっており、日本の科学研究に対する世界の信頼を傷つけるとともに、一般の人に科学への疑念を生じさせかねない問題です。もちろん、多くの研究者は真摯(しんし)に研究に取り組み、その成果を世に問おうとしています。

 会見で理研の川合真紀・研究担当理事は「研究者にとって研究の自由度が何よりも重要」だと強調しました。今回の問題が研究者の自由な研究活動を妨げるような結果につながるとしたら本末転倒です。

成果主義まん延

 中間報告では、論文作成にあたってどのようなことが行われ、それが不正だったのかどうか、いまだ解明されていません。科学研究の現場では成果主義がまん延し、研究者が追い詰められているといいます。今回の問題の背景にそうしたことがなかったのか検証が求められます。

 全容を徹底的に解明し、それを公表していくことが、日本の科学に対する信頼回復に不可欠です。そのうえで、“生物学の常識を覆す世紀の大発見”といわれたSTAP細胞が本当にあるかどうか真摯な姿勢で研究に取り組んでもらうことを期待します。

(間宮利夫)


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