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2014年3月1日(土)

ウクライナ 親EUの新政権発足

経済・対ロシア関係が課題

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 【パリ=浅田信幸】ウクライナで2月27日、ヤヌコビッチ政権打倒の立役者の一人であるヤツェニュク氏(元議長)を首相とする親欧州連合(EU)政権が発足しました。破綻にひんする経済とロシアとの高まる緊張関係を抱え、5月25日に予定される大統領選挙まで暫定政権として、政変後の混乱が収まらない国政を担います。

 議会の満場一致で首相に指名されたヤツェニュク氏は、指名後の演説で「ウクライナの未来は欧州にあり、ウクライナはEUの加盟国となる」と強調しました。

 クリミアをめぐる情勢について「領土保全が脅かされており、クリミアで分離主義が現れている」と指摘。ロシア系住民に対し、「われわれと対立しないでほしい。われわれは友人であり、パートナーなのだ」と呼び掛けました。経済問題では、「国庫は空だ。きょう明日にも改善するとは約束しない」と述べ、「不人気な措置を取る以外に解決策はない」として、国民の協力を求めました。

 ウクライナは向こう2年間に350億ドル(約3兆6000億円)の国際的な支援が必要だとしており、国際通貨基金(IMF)は同日、正式な支援の要請を受けたことを明らかにしました。

 政変前にも国際的融資の交渉が行われており、IMFは構造改革の実行を条件として要求。これには財政赤字圧縮のため、家庭に対する燃料費補助金の撤廃などが含まれていました。

 主要閣僚は首相を含めて、ティモシェンコ元首相率いる親EUの政党「祖国」などに所属。親ロシアの旧与党・地域党は排除されました。

ロシア軍は自制を 各国から批判の声

 【パリ=浅田信幸】ウクライナ南部のクリミア自治共和国で、政変への反発からロシアへの帰属を要求するロシア系住民の動きとともに、これに呼応するかのようなロシア軍の大規模演習の実施で緊張が高まり、各国から「自制」を求める声が上がっています。

 2月26、27日にブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)国防相会議で、ラスムセン事務総長はロシア軍の動きを「危険かつ無責任」だと批判し、すべての当事者に「緊張を拡大しかねないいかなる行動もとらない」ように要求。ヘーゲル米国防長官も「誤解を生むいっさいの行動」を避けるよう訴えました。

 新政権との会談のためにキエフに入った国連安保理議長国リトアニアのリンケビチュス外相は、ロシアに対し、「ウクライナに直接語りかけ、ともに(クリミアで)進行中の挑発行為を阻止するために活動する」ことを求めました。

 ロンドンでは27日、キャメロン英首相がメルケル独首相との共同記者会見で、「すべての国はウクライナの領土保全と主権を尊重すべきだ。ロシアはそれを約束した。約束を守ることが重要だ」と強調しました。

 メルケル氏も「ロシアは、領土保全は守られるべきだという点で同じ見解を持っていることを確認した」と指摘。一方で、ウクライナでロシア人の比率が高いことが「政府の活動に反映されるべきだ」と新政権に促しました。


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