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2014年2月28日(金)

スポーツによる損脳傷どう防ぐ

脳振とう起きたら すぐ中止

学会が提言

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 スポーツの際に頭部に強い衝撃が加わるなどして死傷する事故が後を絶たないなか、日本脳神経外科学会は一般向けに初めて「スポーツによる脳損傷を予防するための提言」を出しました。まとめにあたった日本大学の片山容一教授は「予防策を国民みんなの共通認識にしていきたい」と語ります。 (西口友紀恵)


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(写真)片山容一教授

 同学会が一般向けに提言を出した背景には、学校での事故が相次いでいる実態があります。昨年度から中学校の体育で柔道や剣道などの武道が必修化され、いっそうの安全対策が求められています。

急激に加速する力

 日本体育協会の研究班が行った中学、高校の部活動中のけがの調査によると、治療費が月10万円以上かかった頭や首の重いけがは年に約500件。頭のけがでは脳振とうが最多で全体の4割近く。重篤な急性硬膜下血腫なども年間約50件ありました。

 片山さんは脳損傷の一つである「加速損傷」を知っておくことが大事だといいます。例えば立っている人の頭をバットでボールを打つように殴った場合―。直接的な衝撃も問題ですが、より問題なのが直後に脳が急激に揺さぶられ血管が切れるなど損傷を起こすことです。これを加速損傷といいます。加速損傷は必ずしも頭部に物体があたらなくても起きます。片山さんは加速損傷が起きるスポーツとしてアメフット、柔道、ラグビー、サッカーなどをあげます。

意識あっても注意

 提言は、脳損傷を予防するため、脳振とうを正しく知り、対処することを呼びかけています。「脳振とうイコール脳損傷ではありませんが、脳振とうを起こすのは頭部を加速するような力が加わったということ。十分な注意が必要だ」といいます。

 脳振とうと聞くと、意識を失うイメージがあります。しかし「意識があるので脳振とうではないと思ったら大きな間違い」と片山さん。「頭痛や気持ちが悪いと訴えるだけのこともあります。本人は分からないので、教師やコーチなどがそのことを知っておいてほしい」。多くの場合、平衡障害を起こすので両足を縦に並べて立ち、手を腰にあてて、しばらく立っていられるかどうかは、見分ける一つの方法だといいます。いまいる場所や曜日を聞いて答えられるかどうかも目安になります。

 脳振とうの症状は短時間で消えることが多いですが、数週間以上継続することもあります。

 提言は、脳振とうを起こしたら原則として直ちに競技・練習への参加を停止することを呼びかけます。競技・練習への復帰は、脳振とうの症状が完全に消えてから徐々に行います。

 「症状がなくなっても油断はできません。復帰は、最低でも1週間くらいかけてゆっくり行います。初めは頭に衝撃がいかないようなトレーニングから始めてほしい」

 提言は、脳振とうの後、そのまま競技・練習を続けると、これを何度も繰り返し、急激な脳腫脹(脳のはれ)や急性硬膜下血腫など致命的な脳損傷を起こすことがあると注意を喚起。脳損傷や硬膜下血腫を生じたときは原則として競技・練習に復帰すべきではないと明記しています。


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