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2014年2月27日(木)

ウクライナ政変 EU懸念

国土分断、経済・財政破たんの可能性

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 【パリ=浅田信幸】ウクライナの政変で親欧州路線の強化が明確になりましたが、欧州連合(EU)は「懸念」をにじませた反応を見せています。


 EUとしては、派遣した3外相による必死の与野党仲介で成立した合意が1日で乗り越えられ、「不意」を突かれた格好です。政変がロシアを刺激し、使用言語などから親ロシア感情が強いウクライナ東部へロシアが介入し、親西欧的感情の強い西部との国土・国民の分断といった深刻な事態を招かないか、との懸念も小さくありません。

 ヤヌコビッチ大統領が失脚した直後から、アシュトンEU外交安全保障上級代表、メルケル独首相、オランド仏大統領らをはじめ各国首脳が異口同音に「団結、主権、独立、領土の一体性」を強調していることに、それは示されています。

 もう一つの大きな問題は、国家破産の瀬戸際といわれるウクライナの経済・財政状況です。

 そもそも今回の政変への導火線となったヤヌコビッチ大統領によるEU連携協定への署名拒否も、これが大きな原因の一つでした。

 ウクライナは向こう2年間に350億ドル(約3兆5700億円)の国際支援が必要だといいます。今年末には130億ドルの債務返済を控えていますが、デフォルト(返済不能)に陥る恐れがあります。

 EUが協定調印に合わせて約束していた援助額は6億1000万ドル。国際通貨基金(IMF)による支援の条件は、ロシアからの輸入に依存するガスの使用代金について、家庭への補助金撤廃を含む緊縮政策の実行でした。

 これに対して、ロシアは150億ドルの援助とガス供給価格の30%引き下げを提案。ヤヌコビッチ大統領はこれに飛びつきました。政権側は当時、EUとの協定に署名しないのは「経済的な理由」だと釈明しています。

 政権が交代しても経済・財政状況が一変するわけではありません。

 シュタインマイヤー独外相は「破産状態のウクライナは、ロシアにとってもEUにとっても重荷であり過ぎる」と発言。ファビウス仏外相は「ウクライナの隣人というのはロシアでもありEUでもある。ウクライナはそれぞれにいい関係を持つことが望ましい」と語りました。

 対ロシア関係の緊張化を避けたいと同時に、ロシアにも支援のための資金を出させようとの思惑も見え隠れします。

 こうしたEU諸国側の反応は、政権交代後にストレートにEU加盟志向を表明したウクライナ新指導者たちとは、微妙にすれ違っているようです。


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