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2014年2月10日(月)

病院民営化やめさせた

医師・看護師・患者・市民・労組が連帯

スペイン・マドリード州

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 スペインのマドリード州政府は1月末、財政赤字削減を名目とする病院民営化の断念に追い込まれました。15カ月におよぶ医師や看護師、患者、市民団体による「公的医療制度を守れ」のたたかいが、国民党政権の公共サービス切り捨てと新自由主義路線に「待った」をかけた大きな成果です。

 (パリ=浅田信幸)


「公的医療守れ」と15カ月

地図

 ことの発端は2012年10月31日、国民党の州政府が突然、州内にある20の公立病院のうち6病院と270の保健センターのうち27センターを民営化し、同州で最も権威があると言われるプリンセサ病院を老人介護センターに改組する方針を打ち出したことでした。

緊縮進める政府

 州政府の方針は、スペイン中央政府ラホイ国民党政権の緊縮策に沿ったものでした。ラホイ政権は、財政赤字圧縮のために医療保健部門で年70億ユーロ(約9500億円)の削減を推し進めています。

 州政府の発表から2日後の11月2日、プリンセサ病院の医師や看護師らが無期限ストに突入。「公的医療制度を守れ」のたたかいの狼煙(のろし)を上げました。たたかいはすぐマドリード州の全公立病院に広がり、最初の3週間で、プリンセサ病院の改組を撤回させました。

 本格的なたたかいが始まったのはここからでした。

 11月26日には同州の全医療保健部門で初の統一ストライキが実施されました。マドリード専門医協会(AFEM)の医師は「医療の質の低下と人員削減」を招く恐れがあるとして民営化に反対し、無期限ストに突入。12月からは毎月第3日曜日に抗議デモが組織されるようになり、これは14カ月続きました。

 たたかいは13年2月に全国に拡大。「健康は売るものでなく、守るものだ」「君の健康が盗まれる」といったスローガンが掲げられ、医師や看護師の白衣から抗議行動は「白い波」と呼ばれるようになりました。

集団訴訟に発展

 たたかいは医師や看護師にとどまらず、患者組織や地域住民団体、全国労組、市民団体を巻き込み「マドリード公的医療防衛委員会」も組織されました。13年夏から秋にかけて、州政府が強行した民営化のための業者選定に対し、民営化の停止を求めて野党勢力とともに集団訴訟を起こしました。

 民間業者への経営移管が開始される直前の9月中旬、マドリード高等裁判所は“120万市民と5000人の医療従事者にかかわる部門を民間の手に委ねる問題は、時間をかけた検討が必要”との理由から民営化プロセスの「凍結」を決定します。

 州政府はこれを不服として異議申し立てを行いますが、高裁は今年1月27日、この申し立てを却下。イニャシオ・ゴンサレス州政府首相は「民営化断念」を表明せざるをえなくなりました。

 有力紙パイスは翌28日、社説で「スペインの公的医療サービスは重大な挑戦に打ち勝った」と論評。マドリード専門医協会の幹部パトリシア・アロンソ氏は「イデオロギーにとらわれず事実に基づくメッセージをまとめ、社会に希望を生み出すことに成功した」とメディアの取材に語っています。


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