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2014年2月10日(月)

きょうの潮流

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 火鉢にしゅんしゅんと沸く鉄瓶、透き通った音色を奏でる風鈴。懐かしい暮らしの記憶を呼び起こす「メイド・イン・ジャパン南部鉄器」展が東京の汐留(しおどめ)ミュージアムで開かれています▼南部鉄器は東日本大震災の被災地、岩手県の伝統工芸品。江戸時代初期に盛岡城を築城した南部藩藩主が、京都から釜師を呼び、豊富に採れる砂鉄や木炭を使って釜を作らせたのが始まりとされ、400年の歴史があります▼現存する最も古い釜の一つ「老松釜」は、全面に緻密な松葉模様が施され、ふたのつまみは精巧な松かさの形。松の大木が風に鳴る音が聞こえてくるようです。南部鉄器の文様は、月にホトトギス、ブドウとリス、波にコイ、南部馬などが躍動し、岩手の豊かな自然に育まれてきたことがしのばれます▼第2次世界大戦中は鉄統制令によって製造が禁止になり、鋳物製品は徴用の対象となるなか、職人たちは「南部鉄瓶技術保存会」を結成して細々と製作を続け、その活動は戦後設立された組合に引き継がれました▼現在、南部鉄器の急須は、ヨーロッパをはじめ茶の文化を持つ世界各国で人気を集めています。造形美と耐久性、安全性、沸かした湯の味のまろやかさなどが愛されているといいます▼岩手で生まれ、世界のブランドになった南部鉄器。震災から間もなく3年を迎えます。受け継がれてきた伝統文化に地元の人たちが誇りを持ち、歴史を生かした復興を進めていけるように、被災地を支えることの大切さを思います。


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