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2014年2月8日(土)

沖縄も本土も米軍基地大増強 民意無視の強要は許されない

参院予算委 仁比議員の質問

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 日本共産党の仁比聡平議員は6日の参院予算委員会の基本的質疑で、米軍新基地建設問題と秘密保護法について政府を追及しました。このうち基地問題(大要)は次の通りです。


沖縄県民の総意 

仁比 稲嶺市長の勝利は安倍政権への審判。民意受け止めよ

首相 真摯に受け止め丁寧に説明

仁比 普天間基地は無条件撤去を

写真

(写真)質問する仁比聡平議員=6日、参院予算委

 仁比 沖縄の名護市議会は2月3日、(普天間基地の)辺野古「移設」を強引に推し進める政府に対して激しく抗議し、普天間基地の県内「移設」断念と早期閉鎖・撤去を求める意見書を可決しました。そこではこう記載されています。

 「沖縄への圧力を強め、一部の政治家に公約破棄をさせ、県民の総意を分断し、県知事に埋め立て申請の承認を取り付けるなど、子や孫の代まで米軍基地を強要しようとしている日本政府のやり方に怒りを禁じえない」

 私はここに、沖縄県民の民意が表れていると思います。「沖縄県民は屈しない」という稲嶺進名護市長の勝利は、県民総意による安倍政権への審判だと考えます。

 沖縄の米軍基地は戦争中に米軍が住民を捕虜収容所に囲って強制的に接収し、その後、銃剣とブルドーザーで強制接収、そして拡張してつくられてきました。県民が同意してできた基地ではないわけです。それが、埋め立ての承認によって、沖縄県の歴史で初めて県が基地を受け入れ、新基地建設を許すのかと。「県民は決して屈しないぞ」という言葉にならない憤りを、私も県庁包囲のなかで、あるいは名護市の街頭でともにしてまいりました。

 この市長選挙に表れた県民の民意を、総理はどのように受け止めておられるのですか。

 安倍晋三首相 普天間飛行場の固定化は、絶対に避けなければならない。これは安倍内閣の基本的な考え方であり、政府と地元のみなさまの共通の認識であると思います。選挙の結果については、真摯(しんし)に受け止めたいと思いますが、地方自治体の首長選挙であり、政府としてコメントすることは差し控えさせていただきたい。

 いずれにせよ、普天間飛行場の危険性を除去し、沖縄の基地負担を軽減するための取り組みについて、丁寧に説明をし、地元のみなさまのご理解を求めながら返還に向けて全力で取り組んでまいります。

 仁比 市長選挙の結果は「真摯に受け止めたい」とおっしゃいましたが、どう真摯に受け止めるんですか。

 首相 今後、地元のみなさまにさらに丁寧に説明をしていきたいと考えております。

73%の県民が県内たらい回し許さないと回答

 仁比 求められているのは説明ではなく、民意をまず受け止めることなんですよ。

 普天間基地返還、「移設」問題はどのように解決すべきかという昨年12月30日付の琉球新報に掲載された世論調査があります。ここでは、無条件に閉鎖・撤去すべきが26・8%、国外移設が28・2%、県外移設が18・5%で、合わせて73・5%の方々が県内のたらい回しは許されないと答えている。辺野古に移設すべきは15・9%にすぎないわけです。ちなみに、県外移設の公約を方針転換させた政府・自民党の姿勢を納得できないとおっしゃる県民は72・6%に上っています。

 総理、あなたに突き付けられているのは、「基地たらい回しは許されない」という民意なんですよ。この民意をどう受け止めるんですか。

 首相 日米同盟が果たす抑止力を維持していくことは政府の責任と考えています。そのなかで基地負担の軽減にも努めていくのは当然のことです。

 仁比 「抑止力」といいますけれど、沖縄に基地を押し付ける、この言い分をずっと続けてきたじゃないですか。だけれども、あなた方がどんなにそんなことを言ったって、沖縄県民は、もうとっくに乗り越えている。それが、この県内「移設」=たらい回しは許されないという圧倒的な民意ではないですか。

 昨年12月に(安倍首相と会談した)仲井真知事は総理から「普天間基地の5年以内の運用停止の確約を得ている」と繰り返し言われている。安倍政権は「普天間基地の5年以内の運用停止を含めて全力で取り組む」と言っています。知事が言うように「5年以内の運用停止」の確約を総理はされたんですか。

 首相 政府としてはアメリカなど相手があることではございますが、全力を尽くしていきたいと考えております。

「5年内運用停止」確約の有無 首相は答えない

 仁比 結局、この「5年以内の運用停止」を確約したかどうかは、総理はお答えにならないわけですよね。「5年以内の普天間運用停止を含めて全力で取り組む」と繰り返しおっしゃるわけですが、昨年4月の日米合意では、普天間基地の返還は「2022年度またはその後」と合意されていて、当然、「5年以内の運用停止」は何も書かれていないわけです。総理は、この日米合意の見直しを求めて米国と交渉するわけですか。

 小野寺五典防衛相 私どもとしては、沖縄の負担軽減をしっかり進めていくことが大切だと思いますし、とくに、今回の普天間の危険性の除去をまず第一にしたいと思っております。技術的なことについては相手もありますので、その中でしっかりと共有をしていきたいと思います。

 仁比 「相手もあるので」といいますが、その当の米国は「普天間飛行場の閉鎖は、新基地が運用可能になってからである」「日本国内の問題である」という態度です。

 総理、この「5年以内の普天間運用停止を含めて全力で取り組む」というのであれば、日米合意では「2022年度またはその後」とされているわけですから、その日米合意を見直すことがなかったら、あなた方の発言そのものを本当に全力で取り組んでいるなんて言えないんじゃないですか。

 防衛相 相手側があることでもありますが、しっかりとこれから対応するための努力をしてまいりたいと思います。

 首相 米側など相手があることでありますので、われわれは全力をつくしていく考えでございます。

 仁比 結局、お答えにならない。普天間基地の固定化を招いてきたのは、政府がそうやって沖縄県内への基地の移設に固執し続けてきたからだと私は思います。戦後68年余りにわたって、米軍基地に苦しめられてきた沖縄で、新たな基地の建設を受け入れられるはずがないではありませんか。民意を無視して、力ずくで基地を押し付けようとする。そこに問題の根本があるのであって、普天間基地は、その形成過程のことを考えても、無条件に撤去をすべきだと私は強く求めたい。

辺野古新基地建設

仁比 272メートル護岸など最新鋭の巨大基地になる

防衛相 埋め立て拡張で新基地でない

仁比 耐用年数200年―孫子の代まで米軍居座りどこが負担軽減か

 仁比 辺野古を埋め立てて、そこに普天間の機能が移転してくるだけなのか。ジュゴンのすむ美しい海に、巨大な基地が建設をされ、2本の滑走路がつくられ、すでにあるキャンプ・シュワブの弾薬庫・兵舎はもちろんのこと、沖縄本島北部の広大なやんばるの森で戦闘訓練をいま行っている北部訓練場とも連動した最新鋭の基地になるわけです。

 この新しい基地には護岸もつくる計画で、埋め立て申請によるなら、アセス(環境影響評価)のときにいっていた200メートルから272メートルになるとされていますが、これは普天間にはない機能ではありませんか。

 防衛相 キャンプ・シュワブという米軍基地の沖を埋め立て、そこを拡張するという形ですので、新たに基地が誕生するわけではないと思います。

 当然、護岸、接岸する場所はできますが、面積自体は普天間の3分の1になるということを受け止めていただき、北部の訓練施設には、基本的には海の上を飛んでいくことになります。市街地を極力通らない案で、日米で検討した案です。

水陸両用揚陸艇上陸可能な道も計画

 仁比 すでにある基地の拡張だから新基地ではないなんて、そんな詭弁(きべん)は通じないでしょう。辺野古にまるで人が少ないからいいんだと言わんばかりの話だったり、面積が3分の1だからいいんだというような話って、いったい何なんですかね。

 この埋め立て申請では、272メートルの護岸に加えて、水陸両用揚陸艇が上陸可能な道も計画されていますよね。

 防衛相 現時点で使われている米軍基地内のものを埋め立てて、その場所がなくなるので、その代替としてつくるというふうに私どもとしては理解しております。

 仁比 実際にできたらどう使うかは、米側の運用なんでしょう。アメリカの国防総省はSACO(沖縄に関する日米特別行動委員会)合意のときに、この基地の運用年数40年、耐用年数200年の施設として設計すべきだというふうに求めていますし、元防衛大臣の森本敏氏は「普天間基地の代替施設には、有事の事態を想定すれば100機程度のオスプレイを収容できる面積がなければならない」と著書に書いているわけですね。

 (パネルを示し)これはボノム・リシャールという米軍の強襲揚陸艦がうるま市の米軍基地ホワイトビーチに接岸をしているところです。甲板の上にオスプレイを多数搭載し、その横にはボノム・リシャールに格納し敵地に揚陸をしていくLCAC(エアクッション型揚陸艇)が潮を噴き上げて走っている映像です。272メートルの護岸になれば、このボノム・リシャール級の強襲揚陸艦も辺野古に揚陸できることになるんですよ。これは、普天間の機能の移転だけではすまない。まさに増強じゃありませんか。これを孫・ひ孫の代まで、米軍がこんな形で居座り続けるのか、これがなんで沖縄の負担軽減かと。そこが大問題なんじゃないですか。(「そうだ」の声)

 防衛相 たとえば輸送船、貨物船のようなものが接岸することは想定しておりますが、強襲揚陸艦が接岸できるような場所と私どもは理解をしておりませんし、またそのような運用をするとも思っておりません。

 仁比 思っているかどうかという問題ではないんですよ。つくられれば米軍の運用なんでしょう。

 沖縄の負担軽減策の一つとして、普天間基地所属のKC130空中給油機を米軍岩国基地(山口県)に全15機を移駐するという。

 それならばうかがいたい。移駐した空中給油機は、もう沖縄にはこないんでしょうか。沖縄の基地に飛来したり、沖縄の演習場で訓練したりしないという保証があって言っているんですか、総理。(防衛相が立つ)総理に言っている。

 防衛相 この時点で想定してお話しすることはできないと思います。

 仁比 そんな甘い話じゃないですよ。たとえば昨年12月9日の岩国市議会全員協議会で、防衛大臣のもとにある防衛省地方協力局地方調整課長はこう説明しています。「現在、伊江島等で訓練を行ってございますけれども、たとえばこの伊江島補助飛行場を使っての訓練というのは、引き続き行われるということでございます」。明言しているじゃないですか。大臣、その通りでしょう。

 防衛相 伊江島のことをお話しになっていますが、負担軽減については、これからも米側と話をしっかりしてまいりますが、どういう事態が今後日本の安全保障上起きるかわからないときに、さまざまな想定をして訓練を行うのは、別の面で大変重要なことだと思っています。

岩国移駐後も沖縄に行き訓練何も変わらない

 仁比 岩国へのKC130の移転を沖縄の負担軽減と、いわば押し付けながら、これを実際に移駐後も岩国から沖縄に行って訓練をする。何も変わらない。沖縄の負担軽減にならないじゃありませんか。(「そうだ」の声)

 これまでも、負担軽減だといって沖縄の部隊の一部が本土だとかグアムに行くということがあっても、アメリカの本国や本土から別の米軍機が自由に飛来して沖縄で訓練を行って、負担が軽減されなかったわけです。これを沖縄の負担軽減だと言って押し付けるのは大きな間違い、許されないと思うんです。

岩国基地

防衛相 現在50機、移駐後120機程度に

仁比 2.5倍、極東最大規模だ 沖縄の苦しみを本土全体に広げるのか

 仁比 移転先の岩国基地はどういう事態になるのか。防衛大臣、いまの米軍岩国基地所属の機種別の機数と合計はどれだけか。そこに移駐するKC130、あるいは3年後2017年までに移駐するとされている空母艦載機の計画が完了すれば、岩国は何機態勢になるんですか。

 防衛相 現在岩国にはFA18、AV8ハリアーなど約50機が配備をされていると承知しております。今後、15機のKC130および59機の米軍艦載機等が移駐する予定で、これら移駐完成後の同飛行場における米軍の航空機の総機数は120機程度になるものと承知しております。

 仁比 現在のほぼ2・5倍の米軍機が、ここを拠点とするというわけですよね。これまでに本土の米軍基地でそうした例はありますか。

 防衛相 いま手元に資料がありませんので、わかり次第、ご報告をさせていただきたいと思います。

 仁比 前例のない大増強なんですよ。その岩国からも沖縄に飛んでいくとなれば、沖縄の負担軽減にもならない。在日米軍基地で、所属機数では最多の嘉手納基地をしのいで、極東最大規模の米軍基地になるということなんですね、岩国が。そうした計画に沿って2013年度補正予算案では43億円、14年度予算案で903億円もの巨費が計上され国民に負担をさせられようとしているわけです。

 いまでさえ、基地周辺の爆音被害っていうのは筆舌に尽くしがたいですよ。夜間離着陸訓練のすごさは、体験した人でないとわからない。寝付いたところを爆音で起こされて、朝は朝で早朝からエンジンテストの爆音。母乳をやっていた赤ちゃんを、突然の爆音がとどろいて、とっさに自分の手で赤ちゃんの耳を防いで子どもを守ったというお母さん。こうした被害が飛躍的に増大するということになるじゃありませんか。

 もともと、岩国基地の沖合移設は騒音被害を軽くするためだというふうに言っていたものなのに、フタを開ければ、まったく趣旨に反しているじゃないですか。総理、どう思います。

 首相 岩国においては、首長選挙、衆議院選挙、参議院選挙においてもご理解をいただきながら、われわれが勝利を得ているところもあるわけでございます。沖縄の基地機能を分担、負担をしていくことになって初めて沖縄の普天間基地の移設も可能になっていくわけです。

 仁比 総理がおっしゃっているのは、沖縄の耐え難い苦しみを本土全体に広げるということを言っているに等しいと思いますよ。

 自衛隊訓練空域であるはずの「エリア567」というのがありますが、ここは米軍機のわが物顔の飛行訓練場になっています。この直下の島根県の浜田市、広島県の北広島町に昨年9月、国が初めて騒音測定器を設置して測定を開始したわけですが、その経緯を防衛大臣、説明いただけますか。

 防衛相 米軍機の低空飛行に伴う騒音測定器の設置は、国が設置するようにと自治体からのご要望をいただいておりました。こういう要望のほかに、島根県と広島県の関係自治体や住民の方々から、米軍機の飛行に伴う苦情が多数寄せられていることを踏まえ、防衛省として、平成25年(2013年)9月から、島根県と広島県に試行的に騒音測定器を設置し、騒音調査を実施しております。

 仁比 たとえば、何らかの基準を超えれば抗議するというような検討はしているんですか。

 防衛相 基準というよりも、関係自治体からのさまざまな問い合わせ、苦情というものがございましたら、私どもの中国四国防衛局から、米軍の横田基地の方に通報、その状況について確認をし、県を通じて要請された内容について現地にご報告をさせていただいております。

 仁比 国が確認をしながら、伝えるだけというのかと。騒音を起こしたのがどこの所属機かぐらいのことは調査をしているんですか。

 防衛相 詳しい運用については、米軍の運用ということになりますので。ただ、米軍からの情報をどの程度詳細に県の方に報告しているかは、後ほどご報告をさせていただきたいと思います。

連日連夜の爆音被害は放置できない

 仁比 実際に、どんどんどんどん米軍機が爆音をまき散らしているけれども、それがどこの所属機かもいまは調査していないわけです。

 この防衛局の調査が開始されたことで、地元の目視による調査と合わせて、ずいぶん事柄がはっきりしてきています。

 たとえば北広島町では、昨年11月に低空飛行が連日行われたということが明らかになっていますし、10月下旬の日没後、夜8時すぎから40分間余りの間に、32回もの機体の爆音が測定をされる。わずか3カ月の間に、こうした夜間の訓練が北広島で50回、浜田市では54回確認をされているわけですよね。

 もともと、地元からの要請で(騒音測定器を)つけたという話がありましたが、浜田市では、報道でも大変問題になってきた保育所のすぐ近くにこの測定器が設置をされています。お昼寝をしている子どもたちが突然の爆音に泣き叫ぶと。こんなことは許されないという地元の声と被害というのは、これは一日も放置してはならないと思うんですよ(「そうだ」の声)。こうした低空飛行訓練そのものをきっぱりやめさせるために、大臣、そうおっしゃるんだったら、やるべきなんじゃないですか。

 防衛相 関係自治体と情報を共有し、どのような形で、その地域の方の不安、これが少しでも軽減できるかということの努力をさせていただきたいと思います。

 なお、このエリアは、日本の自衛隊もそうですが、低空飛行を含めた訓練をさせていただいている場所であります。長年にわたってこの地域のみなさんには、日本の安全保障のためにも大変なご理解をいただいていることを改めて感謝を述べたいと思います。

 仁比 地元から上がっているのは、理解ではなく怒りの声です。

 仁比氏は、米軍機による飛行訓練で岡山県津山市の民家の土蔵が倒壊した事案をめぐる米軍の責任問題を追及、米軍基地問題の最後にこう主張しました。

 仁比 沖縄の負担軽減といいながら、負担軽減どころか逆に強大な被害、基地を押し付けるのか。痛みを分かち合うといって極東最大の米軍基地にするのか。そんなことは許されない。


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