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2014年2月6日(木)

混乱続くタイ 政治意識の高まりが必要

政治教育学の専門家に聞く

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 タイで2日に総選挙が行われました。反政府デモによる妨害行為で1万カ所以上の投票所が閉鎖に追い込まれるなどの混乱があり、今後も政治情勢の難航が続くと予想されます。現在のタイ情勢をどうみるのか、ナコンパトム・ラチャパット大学の元講師で政治教育学が専門のワッタナ・アカパニット氏(49)に話を聞きました。 (バンコク=松本眞志)


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(写真)ワッタナ・アカパニット氏

 反政府勢力が執拗(しつよう)に抗議行動を繰り返していることについていえば、この勢力の中心にいる政治家に問題があると思います。この人たちは政府の汚職腐敗について主張していますが、現政権から権力を奪還し、再び利益を享受したいというのが本音だと思います。

「民主主義」嫌う富裕層・中間層

 これらの政治家たちは普通に選挙をやっても勝てないために、選挙を経ずに権力を獲得できる方法を見いだしたのだと思います。

 デモ参加者のなかには政治家とは別に、本気でタイの政治をよくしたいと思っている人々もいると思いますが、タクシン氏の政策には批判的で、インラック政権以前から続いてきた政治運営を根本から覆したいとの思いもあるのです。

 反政府勢力を支持する富裕層や中間層は、「民主主義」を嫌う傾向があるように思います。それは単純に人口のうえからいっても貧困層の数が多いために、一人一票の公正な票を与えた場合、必ずこれらの富裕層が選挙で負けてしまうという問題があるからです。

 そこで、「いまの選挙は本物の民主主義の選挙ではない、偽物の民主主義だ」との批判が多いのです。

 選挙は民主主義にとって重要だとはっきりいえます。ただ、選挙さえやれば民主主義だという意見には賛成しかねます。

 民主政治の発展のためには、法律をよくすることも大事ですが、人々の政治に対する意識の高さも必要だと思います。私のような考えはよく周囲から批判されますが、人々はいろんな考えを持っていいと思います。意見をたたかわせて、どこが問題なのかを議論して、一致点を見いだすことが必要なのです。

国民の前で論議ほとんどされず

 タイの政党状況も同じことがいえます。タイの政党は、欧州や日本などと違って、社会民主主義や共産主義、あるいは資本主義など理念や大きな政策上の違いがあるわけではありません。人脈や利害関係で成り立っている部分が大きく、国民の前で重要な政治問題を論議することがほとんどありません。

 これが人々の政治意識の発展を阻害してきたともいえ、タイの政治の弱点でもあります。

 タイの政治の今後を展望すると混乱が予想されます。選挙後の議席が確定し、新議会を招集して首相を選ぶまでに6カ月以上もかかると一般市民の生活にも支障が出てきます。反政府勢力の行動も長続きするとは思えず、離反が起きる可能性もあると思います。


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