2014年1月30日(木)
男女差別企業 公共事業まかりならぬ
仏下院 男女同権法案を採択
【パリ=浅田信幸】フランス国民議会(下院)は28日、男女同権法案を圧倒的多数の賛成で採択しました。法案は上院に送られ、3月の地方選挙後に審議・採択される見通しです。法案は▽妊娠中絶や育児休暇の権利を拡大▽男女差別を放置する企業に公共事業の応札を禁止する―などを内容としています。
中絶の条件について、現行法は女性が「苦悩状態」にあることを明記しています。法案は、これを削除し、女性自身が判断し、決定する権利を明確にしました。
育児休暇について、子どもが1人であれば、現行で6カ月間の育児休業給付を受けることができます。法案は、母親と父親が半年ずつ分担する場合、これを1年に延長します。父親の育児参加を促すことが狙いです。
子どもが2人以上であれば、これまで通り育児休暇は3年間です(ただし一方の親だけが休暇をとる場合は2年半)。
法案は、仕事上の男女平等(同一労働同一賃金、昇進など)を定めた労働法を尊重しない企業に対して、公共事業への応札を認めず、男女待遇比較に関する年次報告書の提出を義務付けました。
法案はその他、▽家庭内暴力への罰則強化▽未成年の少女を対象にした「ミス・コンテスト」の規制▽議員選挙での立候補者の男女同数を定めたパリテ法違反への罰金増額―など男女同権に関連する問題を網羅的に取り扱っています。
法案の意図について、バロベルカセム女性権利相は「後戻りできない道、それなくして真の自由はない男女平等の道に、わが国を進み入らせる」ことだと説明しています。