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2014年1月7日(火)

EU内移動

ブルガリア・ルーマニアの制限消滅

富裕国、移民増懸念も

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 欧州連合(EU)で域内の「移動の自由」をめぐる論議が焦点に浮上しています。1日からブルガリア、ルーマニア両国民の移動制限が消滅し、EU28カ国のどの国へも自由に移動・居住・就労が可能になりました。これに対し、独仏英などの富裕国に「移民の波」が押し寄せるとの懸念が生まれています。

 ブルガリア、ルーマニア両国の1人当たりの国民総所得(GNI)は、EU3大経済国・独仏英の6分の1から5分の1程度。2007年に両国がEU加盟した後も「低コスト労働力」の流入を恐れて8カ国が最長7年間の移動制限を設けていました。

 この制限消滅を目前にして、ドイツでは政権与党の一角を占めるキリスト教社会同盟(CSU)が12月29日、「貧困に促された移民」規制の必要を訴える声明を発表し、同じ与党の社会民主党(SPD)が反論。発足したばかりの大連立政権内の対立表面化で、メルケル首相が正月休みを中断し、沈静化に乗り出しました。

 英国ではキャメロン首相が昨年11月、フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し、「全面的な移動の自由が許される前に、1人当たりの所得が一定のレベルに達することを求める道もある」と述べていました。

 CSUやキャメロン氏は、自国の福祉制度が掘り崩されることを懸念。それぞれ、求職者手当や住宅保証などの請求権の制限や違反者への再入国禁止など具体的な措置を提起しています。

 東欧諸国からの新たな移民問題は、中東・北アフリカからの移民問題に加えて、外国人排斥を主張する極右の仏国民戦線やオランダ自由党、イギリス独立党にとって格好の宣伝材料となっています。

 これに対し、EUのアンドル欧州委員(雇用・社会問題・同化政策担当)は1日の声明で、他のEU国に働きに出る人々が、仕事を奪って福祉を不正に利用しているなど「安易な攻撃対象」にされることが多いと指摘しました。

 ブルガリアとルーマニアからは07年の加盟後、移動の制限を設けなかった他のEU諸国に300万人が移住しており、いっそうの大量移民は「ありそうにない」との見通しを表明。「人々の自由な移動はEU統合の要石の一つ」だと強調しました。(パリ=浅田信幸)

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