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2014年1月4日(土)

2014外交展望

国際的に孤立、日米同盟にも矛盾 行き詰まる安倍外交

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 “展望なき安倍外交”―。今年の日本外交を展望すれば、こうした言葉がぴったりきます。昨年末の安倍晋三首相による靖国神社参拝は、中国、韓国との関係ばかりでなく、世界各国との関係でも矛盾を広げています。日本外交の行き詰まりは誰の目にも明らかです。(榎本好孝)


靖国神社参拝 米批判は異例

 安倍首相は昨年1年間でのべ29カ国の外国訪問をこなしてきました。第1次安倍政権時(2006年9月〜07年9月)ののべ20カ国に比べても際立った多さです。年初からも中東、アフリカ、スイス(世界経済フォーラム出席)、インドと立て続けに外遊します。

 しかし、第1次政権時と違い、最も近い中国と韓国を訪問できず、首脳会談の展望も開けませんでした。

 最大の壁となっているのは、領土問題での対立に加え、日本による過去の植民地支配と侵略戦争を美化しようとする安倍首相の姿勢です。

 特に、昨年末の靖国神社参拝は、首相自ら侵略戦争を肯定・美化する立場に身を置いたことを意味し、中韓両国との亀裂を修復不能といわれるまでに広げました。批判は中国、韓国にとどまらず、米国やロシア、ヨーロッパにも広がり、文字通り「世界全体を敵に回す」(日本共産党の志位和夫委員長)ことになりました。

 なかでも注目すべきは、安倍・自公政権が最重要視する日米同盟関係にも矛盾が生まれていることです。

 アジア太平洋重視の「リバランス」(再配置)戦略の下で中韓両国との緊張緩和を日本に求めてきた米政府は、首相の靖国参拝について「失望」を表明しました。米軍準機関紙「星条旗」は「最も親密な同盟国に向けられた異例の批判」と報じました。

 沖縄の米軍新基地建設問題をめぐり、首相の靖国参拝翌日に予定されていた小野寺五典防衛相とヘーゲル米国防長官との電話会談も米側の申し出で取りやめになりました。防衛省関係者は「靖国参拝がなければ電話会談は実現できていただろう」と語っています。

 一方、仲井真弘多・沖縄県知事に強圧を加え米軍新基地建設のための埋め立てを承認させた安倍政権は、今年1年をかけ、予定地の名護市辺野古沿岸部の調査と設計に乗り出そうとしています。

 しかし、新基地建設反対という沖縄県民の総意は揺らいでいません。今月の名護市長選をはじめ、安倍政権は県民世論と激突せざるを得ません。今後の米国との調整でも、靖国問題が影を落とす可能性があります。

戦争できる国 動きが本格化

 安倍・自公政権は昨年末、中国への軍事的対決姿勢を前面に打ち出した「国家安全保障戦略」と新たな「防衛計画の大綱」を決定しました。これらに基づいて、尖閣諸島など南西諸島の防衛を口実に、本格的な戦争態勢づくりを進めようとしています。

 中国の軍事的台頭を口実に、日本を海外で戦争ができる国にする集団的自衛権行使への動きも本格化します。首相の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は年明けから、集団的自衛権の行使解禁を提言する報告書のとりまとめに入ります。

 米軍と自衛隊の役割・任務分担を定めた「日米軍事協力の指針(ガイドライン)」の改定作業も年内の終了が目標になっています。

 一方、米国は、尖閣諸島をめぐる“不測の事態”が米軍を巻き込んでの本格的な紛争に発展することを懸念。日中間の緊張をこれ以上激化させないよう促してきました。日本の集団的自衛権行使への動きについても歓迎を表明しつつ、中国や韓国を刺激しないようくぎを刺してきました。

 安倍首相が「戦争する国」づくりを進めれば進めるほど、国民との矛盾が激しくなるだけではなく、米国の戦略とのあつれきも強まらざるを得ません。

 オバマ政権は2月に「4年ごとの国防計画見直し(QDR)」を議会に提出します。アジア太平洋地域への「リバランス戦略」がどのように反映されるのか注目されます。


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