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2013年12月16日(月)

自・維・生活提出 カジノ合法化法案

宮崎で誘致狙う

破綻リゾートの“一発逆転策”

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(写真)宮崎カジノの誘致先とされるシーガイア=宮崎市内

 刑法が禁じる賭博場・カジノの合法化法案が臨時国会会期末の5日、自民、維新、生活の各党共同で衆院に提出されました。これに呼応して、地方のカジノ誘致運動も慌ただしさをましています。宮崎県では、主要な経済団体に県、宮崎市も加わってカジノ誘致のための「統合型リゾート研究会」を設立。かつてリゾート法の下で開発した巨大観光施設シーガイア(宮崎市)へのカジノ誘致をねらっています。

図表

 「あとは国の認定を待つだけだ」―宮崎市内のホテルで11月18日開かれたカジノ「研究会」設立総会。これにオブザーバーとして立ち会ったパチスロ機メーカー最大手「セガサミーホールディングス」(本社・東京、里見治会長)顧問で、元自民党参院議員の小林温氏は立ち去り際、こうつぶやきました。

 宮崎県内でのカジノ構想はシーガイア破綻の前後から、県政界、経済界でくすぶりつづけてきました。(表参照)

 国のリゾート法指定第1号として、国際会議場、地上45階のホテル、ドーム式人工海浜、ゴルフ場など総事業費2000億円の豪華施設を建設したものの赤字続きで、経営するフェニックスリゾート社は2001年2月、第三セクターとして過去最高の負債3261億円で経営破綻しました。これの“一発逆転策”としてカジノ計画が浮上したのです。

 同社は外資リップルウッドへの身売りを経て12年3月、セガサミーにわずか4億円で買収されました。

 「セガサミーが乗り込んできて、急に裏で話が進み始めた」というのは、宮崎の観光振興に取り組んでいる同市内の呉服店経営の男性(33)。「カジノが収益をあげても全部吸い上げられるだけで、宮崎は潤わない。結局セガサミーのためのカジノになる」と話します。

カジノ推進派 セガサミー頼み

シーガイア 悪夢再び

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(写真)閉鎖され廃虚のようなシーガイアの目玉施設「オーシャンドーム」=宮崎市内

 リゾート法で失敗した宮崎県・シーガイアでもくろまれているカジノを中心にした大型リゾート開発計画は、資金も、カジノ運営の能力も、セガサミーに依存するものです。

 セガサミーはシーガイア買収時からカジノ経営に意欲を示し、韓国のカジノ資本と合弁で現地でのカジノ経営に乗り出すなど着々と準備をすすめています。

 カジノ誘致「研究会」の会長に就任した宮崎県商工会議所連合会の米良充典会頭は本紙の質問に「パチンコ業界からみれば商売がたきのカジノをセガサミーが宮崎できちっとやろうとしていることに大きな価値がある」とのべ、セガサミーに頼りきりのカジノ誘致計画であることを隠そうとしていません。

 カジノ合法化法が成立したとしても、宮崎が国に選定される保証はありません。しかしカジノ事情にくわしいパチンコ業界関係者は「『宮崎が大本命』という見方が強まっている。セガサミーの里見会長の政治力に期待だ」といいます。

 里見氏は政治家との幅広い交友が知られています。安倍内閣は過去のどの政権よりもカジノ合法化に積極的です。9月16日に東京都内のホテルで開かれた里見氏の次女の結婚披露宴に、安倍晋三首相が新婦側の主賓として出席したことは、関係者に注目されました。

 シーガイアの最大の目玉施設だった全天候型の人工海浜「オーシャンドーム」は、いまは閉鎖され、無残な廃虚となっています。

 シーガイア破綻時に投入された県の公金返還を求めた住民訴訟の元原告団長、菅谷幸則さん(71)は「目の前に日本一美しい海と空がある宮崎になぜ人工の海をつくるのかとみんな笑っていたら、案の定、大失敗した。あのとき大騒ぎしていた同じメンバーが『今度はカジノだ』と騒いでいる。あまりに意地汚い」と話しています。

 (竹腰将弘)


 リゾート法 1987年に成立した「総合保養地域整備法」。日本共産党は環境破壊、地価上昇、地方財政の悪化を招くと反対しましたが、その他のすべての党が賛成。全国にリゾート開発ブームを広げたものの、バブル崩壊で失敗しました。地方の提案を国が選定し、地域を指定するという枠組みは、今回のカジノ合法化法案と酷似しています。


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