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2013年12月1日(日)

上乗せ年金27億円に批判

8000人解雇の大手自動車会長

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 フランスで、経営難から労働者を大量解雇し、賃金凍結を押しつけている大企業の会長が退職後、25年間で2100万ユーロ(約27億円)の特別な年金を受け取ることに怒りと批判が殺到し、受け取り断念を表明しました。企業の幹部が受け取る「補足年金」は「帽子年金」とも呼ばれ、一般の年金に上乗せされるもの。与野党を問わずその規制を求める声が広がっています。

 (パリ=浅田信幸)


一転、受け取り放棄

 フランスの大手自動車メーカー、PSAプジョーシトロエン社は来年退職するバラン会長の補足年金に、多額の資金を準備していました。労働総同盟(CGT)が11月27日、社内文書に基づいてこの事実を明らかにしました。

 同社は経営不振から昨年、8000人を解雇し、国内での生産を続けるために賃金の凍結を決定。今も国内2工場での操業短縮が予定されています。企業救済のために政府も資本投入を検討中と伝えられる最中の暴露でした。

 モントブール生産力再建相は同日、解雇や年金改革での労働者の負担増を念頭に「犠牲はすべての人に求められるべき」で「容認も理解もできない決定」だとして同社に見直しを要求しました。

 野党・国民運動連合のルメール元農相も、「社のトップとして失敗し、雇用も救えず、労働者に努力を求めながらこんな高額な年金をもらって退社するのは、単純に言って品行が悪い」と批判。

 現在、閉鎖手続きが進められている同社工場の組合代表メルシエ氏はテレビ取材に「ショックだし、断念すべきだ」と語りました。

 あまりの反発の強さに、仏企業運動(MEDEF=日本の経団連に相当)も動き、バラン会長は同日夕刻、当初の「問題なし」という態度を変えて、補足年金の権利を放棄することを余儀なくされました。

 企業幹部に都合のいい「帽子年金」は仕組みや計算方法の透明性が低く、「幹部に有利で、企業に不利な年金」(仏紙ルモンド)といわれます。

 私企業幹部の給与や賞与は、基本的にそれぞれの企業の裁量に任されますが、これを機に上限を設けるなど何らかの規制を考えるべきだとの声が広がっています。モントブール氏は「自主規律が効果ないなら、法制化が必要」と発言。フランス共産党のロラン党首は「帽子年金」そのものを禁止すべきだと訴えました。


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