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2013年11月30日(土)

きょうの潮流

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 本屋をのぞいて、目にとびこんできたタイトルがありました。『性と柔』(河出ブックス)。バルセロナ五輪柔道銀メダリストで、スポーツ社会学者の溝口紀子さんが、病んだ柔道界の背景に切り込んでいます▼さまざまな不祥事が発覚した柔道界。1月、15人の女子選手が、指導者の暴力、ハラスメントに抗議し、世に訴え出たことが、改革の“のろし”となりました▼柔道界は、女性が冷遇されてきた歴史があります。講道館の創始者、嘉納治五郎氏が、「女子の試合禁止」を打ち出し、1970年代まで続きました。帯も女子は、白線の入った黒帯しか認められず、昇段に差があり、理事も長きにわたり女性がいなかったなど、枚挙にいとまがありません▼その間に柔道界は、勝利至上主義に冒され、高段者や実力者に意見できない上下関係、派閥争いや利権など、「男のムラ社会」が組織をむしばんでいった、と溝口さんは指摘します▼女性たちは、そのムラの外にいたからこそ、しがらみなく告発できたと。選手たちに「本当の意味でのスポーツの民主化、オリンピズムが浸透してきた何よりの証左」とも評します▼行間からあふれるのは柔道界を変えたいという溝口さんの思いです。体罰・暴力問題に揺れる日本のスポーツ界。改革の道は緒についたばかりです。今後も紆(う)余(よ)曲折があるはず。しかし、それを乗り越え、壁を破るのは、正しい方向を見据え、進もうとする人々の情熱です。そこに男女の違いはありません。


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