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2013年11月29日(金)

“ずっと派遣のまま”

厚労省 期間の制限撤廃案

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 厚生労働省は28日、労働者派遣法の見直しを議論している労働政策審議会の部会で、最大の焦点になっている派遣期間の制限を撤廃する案を示しました。存続させる案も併記しましたが、撤廃となれば派遣を半永久的に使い続けることができます。

 撤廃は派遣業界が主張し、厚労省の研究会報告(8月)に盛り込まれていたものです。同省は年内に報告をまとめ、来年の通常国会に法案を提出する構えです。

 現行法では、通訳など専門的な26業務を除いて派遣期間を「原則1年最長3年」とし、正規雇用を派遣労働に置き換えることを制限しています。期間を超える場合、派遣先企業は直接雇用を申し込む義務があります。

 同省案は、期間制限を原則3年に延長。派遣先の労使のチェックを条件に3年で労働者を入れ替えればずっと使い続けられます。無期雇用の場合は「比較的雇用が安定」として、入れ替えもなく同じ労働者を使い続けることができるようにします。

 部会では、派遣業界の代表が撤廃案に賛成。これに対して労働者委員は「これではずっと派遣のままだ。無期雇用でもリーマン・ショックで9割以上が雇い止め。労働者代表も使用者が指名する場合が多くチェックが働かない」(連合・新谷信幸総合労働局長)と批判。「長期雇用といっても1年を超えただけのものもある。比較的安定といって制限を外すのは乱暴だ」(全建総連・清水謙一書記次長)と主張しました。

解説

「人貸し業」を永久化

 厚生労働省が労働者派遣法の見直し案として示した「原則1年最長3年」の期間制限を撤廃する案は、“正社員を派遣労働者に置き換えてはならない”(常用代替防止)という原則を骨抜きにして、いつまでも派遣を使い続けられるようにするものです。

 派遣業はもともと、「人貸し業」として労働基準法と職業安定法で禁止されていたのを臨時的・一時的業務に限って認めたものです。期間制限の撤廃は、「人貸し業」を全面的に解禁するに等しい暴挙というほかありません。

 3年を超える場合、派遣先企業の「労使のチェック」を条件にあげますが、労働者代表といっても使用者が指名するのが多数です。チェックなどのぞめないことは明らかです。

 無期雇用の場合、「雇用が比較的安定」として人の入れ替えも不要としています。しかし、無期雇用でもリーマン・ショックで9割以上が解雇されたのが実態です。期間制限を外す口実にもなりません。

 厚労省の調査では、派遣を選んだのは「正社員の職がなかった」ためで、「正社員になりたい」人が60%超にのぼっています。改悪が行われると“生涯ずっと派遣のまま”になってしまいます。“使い捨て自由”の不安定雇用を増大させることは許されません。

 派遣を臨時・一時的業務に厳しく限定するとともに、均等待遇など派遣労働者の保護、正規雇用への転換を進めることこそ必要です。(深山直人)


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