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2013年11月26日(火)

主張

イラン核合意

包括解決へのさらなる前進を

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 イランの核兵器開発疑惑の解決をめざして同国と、米国など国連安保理常任理事国や欧州連合(EU)による交渉が合意をみました。イランの核開発が明らかになってから10年余。平和解決に向けた画期的合意だと歓迎の声があがっています。今回の「第1段階」の合意をイランと国際社会が着実に実行し、包括的な問題解決への外交努力を強めるよう求めます。

双方に積極的な変化

 合意は、ウラン濃縮の制限やプルトニウム抽出が懸念される重水炉建設の中止など、イランが核兵器保有につながる活動を停止し、見返りに国際社会が経済制裁を一部解除するものです。今後6カ月間にこれらの措置を実施して互いの信頼醸成をはかり、包括合意に進むことになります。イランの核兵器開発疑惑を解決する合理的な見通しにたつものであり、核兵器の拡散を防ぐ外交努力のあり方を指し示す重要な成果です。

 イランはウラン濃縮をはじめとする核開発技術の獲得を、平和目的であり、主権に属する問題だと主張してきました。しかし、濃縮度を高めるとともに、国際査察を逃れた核関連施設の存在が疑われることなどから、核兵器開発の疑惑が強まりました。アハマディネジャド前大統領がイスラエルへの敵意を露骨に示すなど、挑戦的姿勢をとったことも、疑惑に拍車をかけました。

 今回の合意は、双方の側からの積極的な変化が実を結んだものです。イランで今夏に就任したロウハニ大統領が、国際社会との協調姿勢を打ち出したことが転機となりました。濃縮技術など主権にかかわるとした部分では主張を最後まで続けながらも、欧米との交渉を柔軟に進めてきました。

 背景に国際社会の経済制裁によるイラン国民の疲弊があることが指摘されます。ただ、経済制裁だけで一国の対外姿勢を転換させることは困難です。まして、国際社会にとって経済制裁の目的は、イラン社会の不安定化にあるのではありません。制裁は問題の平和解決への道を切り開くところにこそ意味があることを、今回の成果はあらためて示しています。

 米欧の側にも、ロウハニ大統領の就任という好機を問題解決に生かそうとする前向きの変化がありました。力による脅しを含めた強硬な姿勢は、問題を解決するどころか、事態の悪化を招くだけだったことが合意の伏線になっています。双方が成果をあげようと粘り強く交渉したことが、今回の成功につながっています。

 これで問題がなくなったわけではありません。合意に反対する勢力がいることも問題を複雑にしています。イスラエルはイランとの交渉妥結に反対し、国際的孤立を深めながらも、イランが国際社会を欺いたと合意を非難し、イランへの軍事攻撃も辞さないとする構えを崩していません。米議会の親イスラエル勢力にも、合意への反対を働きかけています。

イスラエルも転換を

 オバマ米政権も指摘するように、合意はイスラエルの安全保障にも役立つものです。イスラエルにはイラン問題の平和解決への姿勢転換が強く求められます。さらに、イスラエル自身が保有する核兵器を放棄し、緊張の続く中東地域に非核兵器地帯を設置する国際努力に加わるべきです。


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