2013年11月17日(日)
中道左派候補に勢い
チリ大統領選きょう投票
【サンパウロ=菅原啓】南米チリの大統領選挙は、国立大学の無償化や男女の賃金格差是正などを掲げる中道左派の統一候補バチェレ前大統領が他候補を大きく引き離したまま17日の投票日を迎えようとしています。
最終盤に発表された公共研究センターの世論調査によると、バチェレ氏の支持率は53%。1カ月前の各社の調査に比べ10ポイント以上支持を広げ、勢いを増しています。これを追うのが、ピニェラ現政権の政策の継続を訴える右派与党連合のマテイ候補ですが、支持率は14%。バチェレ氏が過半数の票を獲得し、決選投票なしに当選する可能性もあります。
街頭での選挙運動が最終日となった14日、バチェレ候補は港湾都市バルパライソで演説。学生やその家族の生活を圧迫している国立大学の学費を段階的に無償化する公約を力説。さらに、「同じ仕事をしているのに、女性より男性に多く支払われることが許されないことを新しい憲法で明記したい」と述べ、新憲法制定を通じてさまざまな改革を実現する考えを明らかにしました。
一方、ピノチェト独裁政権を賛美してきた右派政党国民改進党(RN)のデスボルデス書記長は、支持母体である現役・退役軍人とその家族に向けてマテイ候補に投票するよう異例の呼びかけを発しました。マテイ陣営の幹部からは、「重要なのは決選投票に進むことだ」との声も聞かれ、事実上バチェレ氏の過半数獲得阻止とマテイ氏の2位確保が目標となっています。
大統領選と同時に行われる国会議員選では、下院の全120議席、上院38議席中20議席が争われます。