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2013年11月1日(金)

主張

米NSA盗聴問題

米政府の“威信”は地に落ちた

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 「米国への憤りが欧州に満ちている」と、欧米のメディアが伝えています。米国家安全保障局(NSA)が、メルケル独首相の携帯電話をはじめ各国首脳の通信を盗聴する一方、フランスやスペインなどで市民の通信データも収集していたとされる疑惑です。米中央情報局(CIA)元職員スノーデン氏がメディアに提供した大量の秘密文書から明るみに出ました。

広範な情報を収集

 ブラジルのルセフ大統領やメキシコのカルデロン大統領(当時)の電子メールなどを、NSAが傍受していたことも明らかになっています。35カ国もの首脳を盗聴していたことがうかがえ、ニューヨークにある国連本部や各国代表部への盗聴も指摘されています。

 米情報機関が入手手段の開発に躍起になっていることは想像に難くありません。しかし、入手した情報を米政府が政策決定に利用した可能性も否定できません。米国が重視する情報は相手国の指導者や対外政策の動向、軍事力、武器貿易など安全保障にかかわる分野だけでなく、経済や金融、エネルギー、環境など広範にわたるとされます。欧州で、米国との自由貿易交渉を中断すべきだとの声があがるのも、この問題が広範な影響をもつからにほかなりません。オバマ米大統領自身は各国首脳への盗聴行為を知らなかったとする見方もありますが、それで責任をまぬがれるわけではありません。

 米当局者らは盗聴やデータ収集を米国の安全保障のためだとし、さらにはどの国もやっていることだと正当化する姿勢もみせています。それですむ問題ではありません。盗聴などの行為は他国の主権を侵害する重大な国際問題です。ルセフ大統領が米国への公式訪問をとりやめたうえ、国連総会演説で米国を批判するなど厳しい対応を示してきたのは当然です。

 NSAが電子メールなどのデータを広範に収集し、その対象が米国内だけでなく世界に及んでいることも、人権を広範に侵害するものであり、見過ごせません。

 オバマ大統領は同盟国の指導者への盗聴を禁止する方針とも伝えられます。それが事実としても、この間の動きは技術的にはインターネットや電話の盗聴が可能だということを示しており、実際にやるかやらないかは米政府の一方的な判断次第です。技術で勝る国が優位に立つことは、国家間の平等を基礎にした国際関係に新たな事態が生じていることを意味しています。各国の主権をどう確保するかについて、国連などの場で論議を深める必要があります。

 NSAはかつて、旧ソ連の国内で交わされる電話などの通信を傍受できるという「エシュロン」を世界にめぐらせたことで知られます。米軍三沢基地(青森県)にあった「ゾウのおり」という巨大施設がそのためとされたように、日本とも関係のある秘密機関です。

安倍政権はダンマリ

 安倍晋三政権は米国による盗聴などの問題にダンマリを決め込み、菅義偉官房長官は「情報保全に対応している」と繰り返すだけです。同盟国である米国を擁護する姿勢がうかがえます。安倍政権が推進する「特定秘密保護法案」は同盟国間で情報を共有するため、国民の目や耳をふさぐものです。盗聴問題への姿勢を、その先取りにさせるわけにはいきません。


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