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2013年10月29日(火)

えっ 5万円自己負担?!

佐賀・県立高 情報端末使い教育

不安噴出 「県が購入し貸与を」

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 佐賀県は、来年度から全ての県立高校の新入生を対象にタブレット端末(携帯型の情報端末)を使った教育を開始する計画です。しかし、全生徒が端末を5万円で購入しなければならないため、「高すぎる」と波紋を広げています。(内野健太郎)


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(写真)佐賀県教育庁が新館10階にある佐賀県庁舎

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(写真)教育庁の教育長らの表札

 「下の娘がこんど高校で、たとえ公立でも制服代や教科書代とお金がかかるぞと思っていたら、タブレット代5万円といううわさ。寝耳に水です」というのは、4人の子どもがいる佐賀市内のパート女性(50)。私立高校だった長男は入学時に約24万円かかりました。「タブレットがないと高校生活が送れないというなら仕方ないと思うけど、家にパソコンがあり、携帯やスマホを持たせた上に、学校でタブレットなんて必要なのかと思ってしまう」と当惑気味です。

 佐賀県教育委員会によれば、タブレット端末には教科書などのデジタル教材や電子辞書を搭載。生徒は自分に合った難易度の問題を解いたり、休み時間や放課後も学習したりできるようになり、教員は出欠確認や小テストの自動採点、生徒の学習履歴の管理ができるようになる―と、さまざまなメリットを挙げます。

知事は固執

 最大の問題が、生徒・保護者の自己負担額です。県教委は、最終的な価格は入札で決まるものの5万円を下回ることはないとして、生徒の自己負担額を5万円、超過分を県が補助すると9月初めに発表。これを受け、県議会は価格を8万円と仮定し、約6800人に3万円分を補助するとした約2億円の経費を組んだ補正予算を、10月に日本共産党以外の賛成多数で可決しました。

 発表直後から「貸与ではだめなのか」などの疑問が保護者から噴出しました。県高等学校教職員組合は、定時制や経済的困窮家庭は無償にするように要望してきました。

 「ようやく高校授業料が無償となり、教材費など無償化がもっと広がってほしいと思っているのに、5万円の自己負担は流れに逆行しています。教育の機会均等を図るのが教育行政の仕事のはず」と高教組の永尾実副委員長は指摘します。

 しかし、古川康知事は記者会見で「端末が買えないからといって入試を受けない家庭はないだろう」とうそぶきました。県の育英資金制度の改正で入学支度金の貸与額を端末分の5万円引き上げて15万円にし、県が月2000円の25回払いで貸し付ける制度も設けるとして、自己負担での購入に固執しています。

 こうした中、嬉野(うれしの)市議会は9月17日、「端末必須購入の撤回を求める意見書」を全会一致で可決。消費税増税などで来年度からの生活はより厳しくなっていくことが見込まれるとし、県が端末を購入して生徒に学校で貸与するよう求めました。武雄市議会も保護者負担の軽減を求める意見書を可決しました。

要望書提出

 県PTA連合会は10月1日、説明会開催や、購入できない場合はどうなるのかなど会員の質問・不安をきいてほしいとの要望書を県教委に提出しました。

 あわてた県教委は、保護者からの問い合わせ窓口を県内4カ所に設置。中学3年生の保護者にリーフレットを配布し、ようやく説明に乗り出しました。

 日本共産党の武藤明美県議は「県がICT(情報通信技術)利活用教育を進めるというのなら、備品として購入して貸与すべきです。あくまで個人負担に固執する態度は許せない。父母、教師と一緒になって、備品購入しろと迫っていきたい」と語ります。


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