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2013年10月29日(火)

秘密保護法制定に反対する声明

憲法・メディア法研究者

刑事法研究者

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(写真)秘密保護法制定に反対し、意見を交わす研究者ら=28日、衆院第2議員会館

憲法・メディア法研究者

憲法の原理、ことごとく蹂躙

 憲法・メディア法研究者による「秘密保護法の制定に反対する声明」は、同法案が(1)基本的人権の保障(2)国民主権(3)平和主義―という憲法の三つの基本原理を「ことごとく踏みにじり、傷つける危険性の高い提案に他ならない」としています。

 第一に、国民の基本的人権については、重要で広範な国の情報が行政機関の一存で「秘密」とされることにより、「国民の知る権利が制約される危険が生じる」と秘密保護法案の問題点を指摘。秘密を取り扱う者に対する「適性評価」制度が個人のプライバシーを侵害する恐れや、広範囲な秘密指定によって漠然・広範囲な処罰をもたらし、「適正手続き」保障に反する疑いも強いとしています。

 声明は第二に、国民主権の原理に関して、国民が大きな影響を受ける重要情報の入手、取材、伝達、報道、意見交換が秘密保護法案によってさまざまな形で制限され、「国民主権が拠(よ)って立つ基盤そのものが失われてしまう」と述べています。また国会議員の調査活動や議員の国政調査権が制限を受ける可能性が高いと警告しています。

 第三に、平和主義の原理では、戦争放棄、戦力の不保持、平和的生存権を定める憲法のもと、軍事・防衛の情報は「厳しく精査されなければならない」と指摘。妥当性を検証する仕組みもない広範な防衛秘密保護の法制化は「憲法の平和主義に反し、許されない」と批判しています。

刑事法研究者

弁護士活動まで処罰の恐れ

 「特定秘密保護法の制定に反対する刑事法研究者の声明」は、「法案は一種の軍事立法」と述べ、憲法の基本原理を脅かすと同時に「刑事法上の人権保障を侵害するおそれが大きい」としています。

 第一に、秘密保護法案に規定された罰則は「文言が曖昧(あいまい)であり、処罰範囲は広範であって、憲法31条の適正手続・罪刑法定主義に反する」と批判しています。「特定秘密」の内容を行政機関の長が決定する仕組みでは「刑法による保護の対象を事実上行政機関の決定に広範に委任」していることになり、「それ自体罪刑法定主義の趣旨に反する」としています。

 声明は第二に、刑事裁判における「適正手続き」を侵害するおそれがあるとし、「『特定秘密』の内容が裁判官に対してさえ明らかにされないまま、審理され、有罪とされる」と秘密保護法案の問題点を指摘。また、弁護のために「特定秘密」に接しようとする弁護士の活動まで「共謀罪、独立教唆(きょうさ)・扇動(せんどう)罪…として処罰される可能性がある」としています。

 第三に、「報道機関への配慮規定は問題を解決しない」として、「法案は水も漏らさない秘密保護の体制を作り上げることを意図」していると指摘。公務員等が秘密をメディアに提供するには懲役10年を覚悟しなければならず、報道関係者が秘密に接すれば「10年以下の懲役及び1000万円以下の罰金」という仕組みとなっているもとでは、「法案は『拡張解釈』しなくても十分人権侵害をもたらす」と述べています。

 罪刑法定主義 国民に刑罰を科す場合には、議会が定める法律で、犯罪の内容とそれに対する刑罰があらかじめ決められていなければならないという原則。刑罰を政令などの行政法規に委任することが禁止され、乱用の恐れのないよう要件が明確であることが求められます。

 適正手続き 国民が刑罰などの不利益を受ける場合に、弁護権を十分に受けたり、裁判を公開したりするなど、手続き上の適正さが保障されなければならないという原則です。


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