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2013年10月27日(日)

主張

高校無償制廃止

生徒の学び支える制度壊すな

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 安倍晋三内閣は、高校授業料の無償制をやめ所得制限を導入する法案を国会へ提出しました。そのかわりに低所得世帯等への支援を拡充するといいます。日本共産党は無償制廃止に反対です。

世界では授業料ゼロ

 高校教育の無償制は国際人権規約にも明記された、世界の人々の権利です。教育を受けることは、人として生きていくうえで欠かせません。若い世代が学び、新しい知識や技術、理想を身につけることは社会の貴重な財産となります。だから教育を人権と認め、社会全体で支えようというのが、無償教育の理念です。経済協力開発機構(OECD)諸国のほとんどで公立高校授業料はゼロです。

 日本は4年前に無償制を導入し、世界の仲間入りをしました。昨年には人権規約の無償条項への留保を撤回し、無償化をすすめる国になると宣言したばかりです。

 無償制をやめる法案は、大きな後退と言わなければなりません。

 政府は所得制限により2割程度の生徒を無償から外す計画です。「同じ教室で授業料を払う生徒とそうでない生徒に分けていいのか」。現場の声は痛切です。

 しかも法案は、保護者が申請しなければ、授業料を払わせる仕組みです。非正規雇用などで収入把握がむずかしい保護者が書類を出せず、無償から排除されかねません。ほぼ全家庭からの申請の受け付け、公立高での授業料徴収の再開など新たな事務が生じ、多額の経費がかかる問題もあります。

 「高所得世帯は授業料を負担してもいいのでは」という考えはどうでしょうか。しかし、高所得世帯には授業料でなく、税金の形で負担してもらい、国際的な人権保障の制度である無償制を守るのが、とるべき対応です。

 国は所得制限で890億円を捻出するといいます。しかし、大資産家優遇の税制を改め、年収3000万円以上の高額所得者への課税を1998年の水準に戻せば約1000億円が捻出できます。こうした方向こそ、適正な経済的負担のあり方です。

 もちろん低所得家庭等への支援拡充はおおいに進めるべきです。

 私立高校の平均学費は約55万円、保護者の負担は重く「同じ高校なのになぜこんな違うのか」の声は切実です。公私間格差の是正に本腰をいれる必要があります。

 通学費が工面できず学校を続けられないなど深刻な実態も残っています。経済的理由で高校を諦める生徒が出ないような給付制奨学金の創設もまったなしです。

 ところが法案には支援拡充の条文がなく、来年度予算編成で検討するというだけです。このままでは無償制廃止が決まっただけとなりかねません。無償制を守り、私学と低所得世帯への支援を拡充させるとりくみを広げましょう。

重すぎる負担の軽減を

 政府が無償制の廃止法案の横で低所得世帯支援をちらつかせているのは、国民を分断し抵抗をそぐためです。連帯の精神ではねのけましょう。

 日本は高校も大学も「世界一の高学費」で、国民の負担は限界にきています。負担軽減は国民的課題であり、高校の無償化はその一歩です。日本共産党は「あなたの学びを社会全体で支えます」と高校生、さらに大学生に言えるような国をつくるため全力をあげます。


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