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2013年10月24日(木)

主張

核兵器不使用声明

「核抑止力」論は相いれない

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 「いかなる状況においても、核兵器が二度と使用されないことが人類の生存そのものにとって利益である」とした共同声明が、国連総会第1委員会で発表されました。同様の声明は今回が4度目で、賛同は前回(今年4月)の80カ国から125カ国に広がりました。

 ヒロシマ・ナガサキの被爆の実相を通じて核兵器の非人道性を再確認し、それを「核心」(共同声明)に据え直して、核兵器のない世界をめざす取り組みに拍車をかけようとする国際社会の流れが強まっています。共同声明はその流れを前進させ、核兵器の全面禁止・廃絶をめざすものです。

包囲された安倍政権

 共同声明に参加を拒否してきた日本政府は、今回初めて名を連ねました。唯一の被爆国として、日本の参加は遅きに失したとはいえ当然です。その背景には、声明への安倍政権の後ろ向きな姿勢に対する内外からの批判がありました。長崎市の田上富久市長は今年の「平和宣言」で、「いかなる状況においても」との文言を受け入れない姿勢は「核兵器の使用を状況によっては認める」ことになり、「被爆国としての原点に反する」と指摘し、「原点に返ることを求める」と厳しく迫りました。

 安倍政権が前回の声明に賛同を拒否したのは、軍事力中心の安全保障政策を一段と強め、米国の「核の傘」に依存するからです。この「核抑止力」論は、核兵器を使用することを前提に相手を脅し、それによって相手の攻撃を抑えようとするものです。核兵器の“有用性”を認め、その使用さえはばからない日本政府の「核抑止力」論は、核兵器のない世界を実現する先頭に立つべき被爆国の政府としてあるまじきものです。

 日本政府は米国の「核の傘」に頼る立場を変えていません。共同声明をめぐる経緯は、「核抑止力」論の誤りを浮き彫りにしました。日本共産党の志位和夫委員長は談話で、「声明に賛同しながら、なおも核兵器使用を前提とした『核抑止力論』にしがみつく日本政府の立場は、根本的に矛盾したものだ」と指摘しています。日本政府は「核の傘」にしがみつく政策をすみやかに脱却すべきです。

 菅義偉官房長官は記者会見で、共同声明に「核軍縮に向けたすべてのアプローチ」との文言が盛り込まれたことで、段階的に核軍縮を進める日本の立場と「整合的」になったと述べました。核兵器の拡散や核兵器国間の軍備管理政策ばかり重視した「段階論」が、核兵器廃絶の取り組みの障害になってきたことは見過ごせません。

 共同声明が「核兵器が決して使用されないことを保障する唯一の方法は核兵器廃絶である」と強調したことを、日本政府は重く受け止めるべきです。オーストリア大使が「すべての努力を核兵器の脅威の廃絶に向けねばならないことを、声明は強調している」と指摘していることは重要です。

核廃絶の交渉開始を

 共同声明をめぐって、南米12カ国が参加する南米諸国連合(UNASUR)を代表したスリナム大使は「核兵器禁止の普遍的で法的拘束力をもつ条約制定の交渉に向けた国際社会の流れに参加する」と述べました。国際社会の多くが核兵器禁止条約の国際交渉の開始を求めています。日本政府はこの流れにこそ参加すべきです。


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