2013年10月20日(日)
ユダヤ人住宅70%増
パレスチナ自治区 経済損失も
イスラエルがパレスチナ占領地で建設を推し進めるユダヤ人入植地で、住宅着工が急増していることが分かりました。イスラエルの平和団体「ピース・ナウ」が17日、明らかにしたもので、入植地拡大が進むもと、パレスチナの経済的利益が損なわれている状況も深刻化しています。
「ピース・ナウ」によると、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地で今年の上半期、新たに1708戸の住宅建設が着工されました。昨年同時期の住宅着工数に比べ70%増加しています。このうち180戸は、イスラエル政府でさえ違法とみなしてきた地域に位置しています。
歴代イスラエル政府の入植地建設の結果、西岸には約50万人のイスラエル人が居住しており、オスロ合意が結ばれた20年前と比較し3倍化しています。入植地拡大は同合意に反し、将来のパレスチナ国家樹立を根底から脅かすものになっています。
世界銀行は今月、ユダヤ人の入植によって西岸が現時点で被っている経済的損失が約34億ドルに上るという報告を発表しました。
報告書は、西岸の約61%を占める、行政権と警察権がともにイスラエル側にあると決められた“制限区”が解放されれば、パレスチナの国内総生産(GDP)は35%増加すると算定。「西岸の半分以上を占める、特に農業に適し、資源に恵まれた地域にパレスチナ人は足を踏み入れられない」と強調しています。
オスロ合意 1993年9月にイスラエルとパレスチナ解放機構(PLO)との間で結ばれた合意。双方が段階的和平を進めることを決めました。同合意に基づき94年に暫定自治政府が発足しました。