2013年10月16日(水)
南シナ海問題 海洋開発へ作業部会
中越首相、平和解決を確認
【ハノイ=松本眞志】中国の李克強首相は13日から15日にかけて、ベトナムの首都ハノイで同国要人らと相次いで会談しました。13日のグエン・タン・ズン首相との会談では、海洋分野での共同開発のための作業部会を立ち上げることで合意しました。
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両国は南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)・西沙(同パラセル)の両諸島の領有権をめぐって対立が続いています。中越両政府の発表によると、李氏とズン氏は「領有権争いが両国の全般的な友好関係に悪影響を与えてはならない」との認識で一致。「海洋紛争を友好的な交渉によって平和的に解決する」ことを確認しました。
海洋で何らかの問題が発生した場合には、両国の外務省間、農水産省間のホットラインを活用して紛争の激化を防ぐとしています。このほか、インフラ整備と金融協力に関する作業部会もそれぞれ設置することに合意しました。
李氏はズン氏との共同会見で、「相互の利益を増進させるために設けられた基準によって政治的相互信頼を強め、両国高官の交流を維持し続けることに合意した」と述べ、南シナ海の領有権問題で、「域内の管理の改善、紛争抑制、見解の相違の解消、平和維持を最高レベルまで引き上げることが必要だ」と強調しました。
李氏は、今年はベトナムのトンキン湾付近での共同開発と境界画定の作業部会の進展が見込まれるという展望を示しました。
ズン首相は、両者が新時代における両国関係を深める具体的措置について共通の認識に達したと語りました。
また国営英字紙ベトナム・ニューズによると、14日のベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長との会談では、李首相は、中国が包括的戦略的共同のパートナーシップを発展させることを重視していると発言。チョン氏もベトナムの党と国家、人民が両国の善隣友好関係の発展を重要な関心をもって見ていると応えました。
南沙・西沙諸島の領有権 南沙(英語名スプラトリー)諸島については中国とベトナムが全体、フィリピン、マレーシア、ブルネイが一部の領有権を主張。西沙(同パラセル)諸島については中国、ベトナムが全体の領有権を主張。中国とベトナムは2011年10月、「海上問題解決を導く基本原則に関する協定」に調印し、「交渉と友好的な協議」による紛争解決を確認しました。
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