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2013年10月7日(月)

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安倍社会保障「改革」

自己責任の名で「解体」

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 安倍晋三内閣は、政府がめざす「社会保障制度改革」の内容とスケジュールを定めた「プログラム法案(骨子)」を閣議決定し、その具体化をすすめています。「改革」といいますが、その内容は、医療・介護・年金などの給付を大幅に切り捨て、制度を解体するような改悪案のオンパレードとなっています。自公政権が国民生活の破壊にひた走るねらいは―。


医療・介護・年金切り捨て

写真

(写真)年金引き下げは許さないと首相官邸前で抗議する人たち=1日、東京都千代田区

 70〜74歳の窓口負担の2倍化、国民健康保険料(税)の値上げ、要介護認定で「軽度」とされた人の在宅サービス切り捨てや施設入所の制限、年金の支給開始年齢の68〜70歳への先延ばし――安倍政権が「プログラム法案(骨子)」などで打ちだしている「改革」は、高齢者にも現役世代にも大幅な負担増を押しつけ、制度を切り縮める大改悪ばかりです。

看板を投げ捨て

 その手始めとして、今年10月分(12月振り込み)から年金支給の減額が開始され、生活保護費の大幅削減も始まっています。

 従来の「社会保障と税の一体改革」では、消費税増税の「口実」として、社会保障は、看板だけにせよ「充実」がかかげられていました。しかし、来年4月、消費税率を3%引き上げて国民に8兆円の増税を押しつける一方、大型公共事業の追加や大企業減税が大半を占める「経済対策」に6兆円をつぎこむというのが安倍政権の方針です。“増税分は大企業奉仕のバラマキに”――この路線のもと、社会保障の「充実」「機能強化」などの看板は投げ捨てられたのでした。

歴史逆行の論理

 こうした背信と悪政を開き直る論理として、安倍=自公政権が声高に叫ぶのが、国民生活の基本は、家族の支えを含む「自助」努力であり、国民同士の助け合い(共助)がそれをおぎない、「公助」の対象は一部の困窮者だけという「自助・共助・公助」論です。

 自民党の伊吹文明元幹事長は、2010年に改定した「自民党綱領」を解説する文書で、「自助・自立の心」「ご近所や家族の中で助けあった生き方」こそ「日本が大切にした生き様」だったとし、「国民生活に政府が関与する政策」はやめるべきだと主張しています。同党の世耕弘成参院議員は、『正論』(12年8月号)の対談で「社会保障費を抑えていく唯一の処方箋は家族」と発言。子どもが親の面倒をみれば、年金は少なくてすむ、介護費用も抑制できる、生活保護も不要――などの議論を展開しています。

 「構造改革」・社会保障削減路線は、小泉内閣と第1次安倍内閣が強行し、「医療崩壊」「介護難民」「年金空洞化」などの深刻な事態を引き起こして、一度は国民から退場の審判を受けた道です。それを復活させる“よりどころ”として、戦前さながらの家族観・社会観を持ちだしているのが、いまの安倍=自民党です。

国民的反撃広く

 憲法25条を否定する暴論をかかげ、社会保障切り捨てにひた走ろうとする安倍内閣ですが、生活保護の“門前払い”の強化をねらって提出した生活保護改悪法案は、日弁連やソーシャルワーカー協会が反対の声をあげ、地方紙も次つぎと批判の「社説」をかかげ、「これでは餓死・孤立死が増えるだけ」という世論も広がるなか、先の通常国会で廃案となりました。

 来年、改悪法案の提出がねらわれている介護保険の「軽度者」切り捨てにも、介護施設の団体が批判の声明を発表し、各地の自治体当局から懸念の声が出されるなど、早くも怒りが噴出しています。“危険な暴走”と“基盤の脆弱(ぜいじゃく)さ”という安倍政権の特徴が、ここには顕著にあらわれています。

 社会保障は「ほどこし」でも、お金で買う「商品」でもなく国民の権利――これが近代社会の大原則です。それは、貧困や病気は「自己責任」だとする資本側の論理を克服し、国による生存権保障を求める各国民の運動によって勝ちとられました。

 歴史逆行の論理をふりかざし、国民生活の破壊に突き進もうとする安倍内閣の暴走を阻止し、日本の社会保障の再生・充実への突破口を開く、国民的な反撃と共同をさらに強めることが求められます。

 (党政策委員 谷本 諭)


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