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2013年10月7日(月)

憲章に基づく平和秩序こそ

国連総会一般討論で各国首脳

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 第68回国連総会の一般討論(9月24日〜10月1日)は、米国などによる対シリア軍事攻撃が世界の反対世論を受けて当面回避されるなかで行われました。今年は例年に増して、大国の横暴を許さず国連憲章に基づいた平和の世界秩序を強める声が目立ちました。また核兵器の廃絶を求める声も多く聞かれました。

 (ニューヨーク=島田峰隆)


シリア内戦の対応

 「いかなる場合であれ国連安保理決議がなく、国際法に違反する一方的な軍事介入を拒否する」「20世紀の歴史は、多国間主義の放棄が戦争と人類の窮乏、破滅への前兆だということを示している」

 ブラジルのルセフ大統領は、一般討論の最大の焦点となったシリア内戦への対応についてこう強調しました。他の国々も表現は違っても国連を無視した軍事攻撃を許さない姿勢を鮮明にしました。

 マレーシアのラザク首相は「シリアへのいかなる一方的な行動にも反対する」「国際社会に対し国連のもとで平和を目指す外交的な選択肢の探求の努力を強めるよう呼び掛ける」と強調。インドネシアのマルティ外相も「国連安保理が平和的解決へ向けた外交的な弾みにならなければならない」と語りました。

 スロバキアのガシュパロビッチ大統領は「軍事介入のあらゆる結果をよく考えるならば外交的解決が唯一の解決であることは明らかだ」「国連の継続的な関与が不可欠であり、その役割にとって代わるものはない」と指摘。チリのピニェラ大統領も、国際社会が介入する場合は「常に国連憲章と合致した形で」行わなければならないとくぎを刺しました。

安保理決議に実る

 安保理常任理事国5カ国(米英仏ロ中)は一般討論と並行して、対シリア安保理決議案の調整を続け、安保理は9月27日に全会一致で決議案を採択。決議は、シリアが決議履行に違反した場合も軍事攻撃を自動的には認めず、内戦終結を目指す国際会議の開催など外交的解決へ道を開く内容になりました。

 「今週は勇気づけられる1週間だった。軍事的解決でなく、政治的外交的な努力が前面に出たことに満足している。これこそ国際社会が貫くべき姿勢だ」。ドイツのウェスターウェレ外相は28日、シリア安保理決議の採択に加え、26日にはイラン核協議が10月に実施されることが合意されたことに触れ、中東地域の諸問題で外交的解決を訴えた各国の主張が実を結んだことを歓迎しました。

 「シリア内戦のすべての当事者を交渉のテーブルにつかせることが最優先の課題」(欧州連合=EU)、「安保理が行動するよう圧力をかけ続ける。政治的解決を見いだす努力を全面的に支援する」(オーストラリア)。

 一般討論では安保理に対し、シリア内戦の平和的解決を導く決議を早期に採択するよう求める声が相次ぎました。それが安保理の議論に反映された形となりました。

核兵器の廃絶を

 今年の国連総会は、総会としては初めて核軍縮に関するハイレベル会合を開きました。「核兵器の使用は国連憲章違反だ。核兵器国がその人道的被害について考えるよう求める」(エリトリア)など、核兵器の非人道性を告発し、廃絶を迫る主張が目立ちました。

 オーストリアのフィッシャー大統領は一般討論で「核兵器への依存の継続と核軍縮の限られた前進は世界の大きな懸念だ」「核兵器は非難され、禁止され、廃絶されなければならない」「核兵器の人道的な被害に注意の中心が向けられなければならない」と訴えました。

 パナマのマルティネリ大統領も「国連総会は、人類が地球上で生き続ける権利を守るために明瞭かつ強力に意見を述べる義務がある」と語りました。

 潘基文(パンギムン)国連事務総長は「(核兵器を含む)死の兵器に何十億ドルも費やすのではなく、人間に投資しよう」と強調。メキシコのミード外相は、来年同国で開く「核兵器による人道的影響」国際会議の重要性を強調しました。


 国連総会一般討論 国連総会の開会の約1週間後に始まり、国連加盟国(現在193カ国)の代表が順番に演説します。伝統的に最初の発言はブラジル。自国の立場を国際社会にアピールできる絶好の機会となるため、例年、大統領や首相など首脳級の代表が数多く参加します。


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