2013年10月1日(火)
ポルトガル 全国の首長・議会選
緊縮推進の与党後退
不満渦巻く 社会・共産など躍進
【パリ=浅田信幸】ポルトガルで9月29日、全308市とその下位にある3000超の区の首長と議会を改選する選挙が実施されました。開票が進むとともに、政権与党の社会民主党(PSD=保守)の大幅な後退と、野党・無党派勢力の躍進が鮮明になっています。
現地からの報道によると、首都リスボンでは社会党候補が過半数得票を獲得する圧勝で市長の座を維持。第2の都市ポルトでは無党派候補が現職のPSD候補を破りました。共産党を中心とする統一民主連合(CDU)はエボラ市の市長を12年ぶりに奪還したほか、リスボン、ポルトはじめ各地で得票と議席を増やしています。
全国の政治地図が大幅に塗り替えられるのは確実で、全国紙ジョルナル・デ・ノティシアス(電子版)は速報で「政権に対する巨大なイエローカード(警告)」と報じました。
政府の緊縮政策に対する国民、労働者の不満と批判が渦巻く中、今回の地方選は、事実上、政権与党と国の針路にかかわる有権者の評価を問うものと注目されていました。
共産党のソーザ書記長は29日深夜、党本部で記者会見し、「CDUの得票は(緊縮とは)別の道があるとの希望と信頼を示し、たたかいを励ますものだ」と述べ、「政府のいっそうの孤立は明白だ」と政権打倒への決意を語りました。
同国は債務危機で2年前に、トロイカと呼ばれる欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)から巨額の融資を受けるのと引き換えに、賃金抑制や教育・医療予算削減などを実行。これに抗議する国民・労働者の大規模なデモやストが繰り返されてきました。
地方選挙は、トロイカの監査員が次回融資をめぐる政府との協議のためにリスボンを訪問している最中に実施されました。