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2013年9月29日(日)

主張

安保理シリア決議

軍事介入封じ政治解決でこそ

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 国際社会に緊張をもたらしているシリア問題で、国連安全保障理事会が全会一致で決議を採択しました。国際管理下でシリアの化学兵器を廃棄する道筋を示しました。同時に、2年半にわたるシリア内戦の政治解決をめざすものともなっています。

 国連の潘基文(パンギムン)事務総長は「歴史的決議」だと評価しました。米国などによるシリアへの軍事介入が回避される見通しとなったことは、平和解決を望む国際世論にとって大きな成果です。

化学兵器の廃棄に道

 シリアで、神経ガスのサリンが使用され、住民に深刻な被害をもたらしたことは、国連調査で確認されています。化学兵器の使用は、今日の世界で決して許されない戦争犯罪であり、厳しく非難されなければなりません。この戦争犯罪に対して有効な手だてをとれるかどうかが、国際社会にとって焦眉の課題となってきました。

 採択された決議2118は、化学兵器禁止機関(OPCW)による活動をはじめシリアの化学兵器の廃棄に向けた具体的道筋を示しました。シリアもすでに化学兵器禁止条約に加盟し、保有する化学兵器を申告しました。内戦下のシリアで撤去には困難が伴い、妨害の可能性もあります。決議はシリアに履行を要求するとともに、周辺諸国をはじめ国際社会の協力を求めています。

 国際社会が一致して、国連憲章の枠組みに立ち戻ったことはきわめて重要です。安保理決議なしに、他国に軍事力を行使することは国連憲章に反するものです。国際世論は、外国が単独であれ多国籍によるものであれ、シリアに対して一方的に軍事力を行使することを認めませんでした。

 決議は、シリアで再び化学兵器が使用されるなど決議不履行があった場合、憲章第7章に基づく制裁措置をとるとしています。実際に制裁措置を発動する場合には、新たな安保理決議を必要とし、自動的な軍事力行使に道を開いたものではありません。外部からの一方的な武力行使は、シリアの市民にいっそう犠牲を強いるだけでなく、化学兵器の廃棄にも大きな困難をもたらします。

 オバマ米政権は、シリアへの軍事力行使に踏み切ろうとして内外で孤立し、国連の枠組みに立ち戻らざるを得ませんでした。他国への軍事介入主義が、イラク戦争後の米国民と世界世論から明確に拒否されたことも重要な教訓です。

 シリア内戦では10万人以上が死亡し、国外に出た難民は210万人以上、その数倍が国内で難民生活を強いられています。内戦終結の必要はきわめて切迫していますが、それには政治解決の道しかないことも明らかです。

内戦終結に前進を

 化学兵器の廃棄の進展とともに、内戦終結に向けての確実な前進が課題です。決議は、国際社会がシリアの主権を尊重しながら、国際会議の開催をはじめ和平努力を強めることを表明しています。シリアのアサド政権と反政府勢力は、決議が示した双方の合意に基づく暫定政権の樹立に向けて、真剣に努力すべきです。

 その流れを後押しするうえでも、国際社会は政治的・平和的解決こそが唯一の道であることを確認し、シリア問題の解決に努力を強める必要があります。


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