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2013年9月27日(金)

多国籍企業の規制必要

ISD条項の批判など次々

国連本部で討論会

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 【ニューヨーク=島田峰隆】第68回国連総会の関連企画として24日、多国籍企業による人権侵害や環境汚染をどう防ぐかをテーマにした討論会が国連本部で開かれました。拘束力のある国際的な規制を実施し、多国籍企業に有利な「投資家対国家紛争(ISD)条項」の見直しや拒否を呼び掛ける声があがりました。


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(写真)多国籍企業による人権侵害や環境汚染の防止策を議論した討論会=24日、ニューヨーク・国連本部(島田峰隆撮影)

 討論会は南米のエクアドル政府代表団が主催。国連関係者や中南米諸国の外相、政府関係者など100人以上が参加しました。

 そのなかで、米石油大手シェブロンがエクアドル北東部で引き起こした環境汚染の問題が取り上げられました。被害住民団体の提訴に対し、同国の地方裁判所は2011年、同社に賠償金支払いを命じましたが、同社が国際調停機関に訴え、今年2月には支払い必要なしと結論付けられています。

 エクアドルのパティニョ外相は「企業の利益追求欲にはきりがない。政府が国民生活を守る責任を果たそうとすると、国際機関の調停で企業が勝つ仕組みになっている」と批判しました。

 途上国間の協力を進める政府間組織サウス・センターのマーティン・コー事務局長は「企業の横暴が罪に問われにくい原因は投資協定のISD条項にある。“平等”“調整”といった言葉に惑わされず、この条項を拒否することが大切だ」と述べました。

 国連開発計画(UNDP)のラテンアメリカ・カリブ海諸国担当局長のエラルド・ムニョス氏は「多国籍企業は雇用を生み出し、中南米諸国では経済成長や貧困削減に役割を果たしてきた。だからこそ社会に責任を負った行動が求められる」と指摘しました。

 多国籍企業の社会的責任に関して討論で注目されたのは、今月13日に国連人権理事会で中南米、アフリカ、アラブ諸国が共同で行った意見表明です。声明は「多国籍企業の活動を規制する法的拘束力のある枠組み」の策定を求めました。

 経済社会問題を扱う世界の約200団体が加わる「経済、社会、文化の権利国際ネットワーク」のドミニク・レンフリー氏は「国際レベルで拘束力のある規制は各国政府の主権を企業から取り戻すうえで不可欠だ」として声明を歓迎しました。


 投資家対国家紛争(ISD)条項 投資先の制度や施策によって損害を受けたとする外国企業が、その国を相手取って、制度や施策の変更や廃止、損害賠償を求める訴えを起こすことができるという規定。多くの投資協定に盛り込まれており、環太平洋連携協定(TPP)にもこの条項があります。


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