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2013年9月26日(木)

主張

JR北海道の異常

安全確保へ徹底究明が不可欠

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 レールに異常が発見されても長期間放置していたことなど、次々と発覚するJR北海道の安全無視の姿勢に国民の批判と怒りが広がっています。レールの不具合は大惨事にもつながる事態です。乗客の安全輸送にたいする自覚と責任が欠落しています。公共交通を担う資格が根本から問われています。なぜ同社の安全無視姿勢が放置されたのか。なぜ監督官庁の国土交通省はもっと早く対処できなかったのか。一連の事故・不祥事・トラブルの徹底解明を急ぐとともに、再発防止へ向けた抜本的な対策づくりは待ったなしです。

放置に弁明の余地なし

 もはやズサンというほかありません。JR北海道で相次いで明らかになってきたレール異常の放置問題です。19日に函館線で起きた貨物列車脱線事故の現場付近でレール幅などが基準を超えて広がっているのに1年以上も修復されていないことが判明しました。それを発端に点検記録のチェックを重ねたところ、レールの異常放置箇所が全道各地の多くの路線にあることが次々と明らかになったのです。異常放置箇所は、当初確認した97カ所を大きく超えて260カ所以上にまで達しました。

 異常が確認されたら15日以内で補修することが社内規定で義務づけられているのに、そんな最低限のことすら守られませんでした。時速130キロの特急が1日60本も走る路線であっても補修はされていませんでした。列車の行き違いなどに使う副線では1年近く放置されているところが複数箇所ありました。レールは鉄道の安全輸送の根幹にかかわるカナメ中のカナメです。そのレールに異常が発見されてもほったらかしてきたJR北海道の安全無視の姿勢には弁明の余地もありません。

 JR北海道では脱線やドア開放での走行など2007年ごろから事故・トラブルが増加傾向を示し、11年5月には負傷者79人を出す石勝線トンネル内の特急脱線火災事故を引き起こしました。国交省は事業改善命令を出し、JR北海道も昨年9月「安全基本計画」を策定しましたが、その後も特急のエンジン出火など重大事故は後を絶ちません。一連の事態はJR北海道の安全軽視姿勢の根深さを浮き彫りにしています。

 1987年の「国鉄の分割・民営化」の際、広大な過疎地を抱え、積雪・寒冷地で除雪など費用がかかるJR北海道の経営困難は大きな問題になっていました。慢性的な赤字体質は、社員の採用減、車両・施設の更新遅れ、保守点検・整備の外注化などをもたらし安全運行にかかわる深刻な影響を与えていることは明らかです。

 だからといって安全を軽視したJR北海道の責任は免れません。個々の事故・トラブルの徹底解明にとどまらず、同社の経営の根本にまで迫る検証が不可欠です。

事業者任せあらためよ

 JR北海道の相次ぐ事件・トラブルは、観光や流通など北海道の産業や経済に深刻な打撃を与えています。鉄道の安全を確保し、安心と信頼を取り戻すことは政治の役割です。政府は、JR北海道に安全対策を任せてきた姿勢を改め、国民の足の安全を確保する責任を負うべきです。四半世紀をすぎた「分割・民営化」についても政府の責任で検証し見直すことが求められます。


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