2013年9月15日(日)
独下院選挙まで1週間
与野党支持率は互角
債務危機と格差是正が争点
【ベルリン=片岡正明】ドイツ連邦議会(下院)選挙は22日の投票まで1週間となり、最終盤を迎えてテレビ局などが相次いで最新の世論調査を発表しています。連立与党と野党の支持率は伯仲し、与党が議席の過半数を維持できない可能性も浮上しています。
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「ドイツの将来をよき手に」―メルケル首相が率いるキリスト教民主同盟(CDU)がベルリン駅に大きく掲げた看板は首相自身が“売り”。演説でも「500万人以上だった失業者を300万人を切るまでに減らした」「2008年までの景気後退からドイツ経済を復興に導いた」と強調。野党の政策論争には乗らずに、実績を訴える戦術です。
これに対し社会民主党(SPD)など野党は、大企業が利益を上げる一方で、貧富の格差が広がっていることを最大の争点と位置付け。全国一律の法定最低賃金の導入や富裕層への増税など所得の再分配を訴えています。また、欧州単一通貨ユーロを使うユーロ圏で債務危機に陥った南欧諸国に緊縮と労働市場改革を求めるメルケル首相の対応を批判しています。
全国ラジオ・テレビネット(ARD)とドイツ第2テレビ(ZDF)が伝えた世論調査によると、各党の支持率はメルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が40%、連立与党の自由民主党(FDP)が5〜6%。野党側は最大のSPDが26〜28%、90年連合・緑の党が10〜11%、左翼党が8%で、与野党それぞれの支持率の合計はほぼ並んでいます。
支持率が突出するCDU・CSUが第1党となることはほぼ確実。現在の連立相手、FDPが比例代表で得票5%を下回って議席を失った場合、メルケル首相はSPDや緑の党に連立を呼び掛け、続投する可能性が強いとされます。
11日付の南ドイツ新聞は、債務問題を抱える欧州諸国の間で、メルケル首相の続投はやむを得ないとしても、より債務に寛容なSPDが連立相手となることが期待されていると報じています。
ドイツ連邦議会の選挙制度 有権者は各政党(比例代表)と小選挙区候補者に投票。比例代表での得票率に応じて各政党の議席配分数が決まり、そこから小選挙区の当選者数を引いて残った分を比例名簿上位から割り当てます。比例代表の得票率が5%未満か、小選挙区の当選者が3人未満だった政党は、比例代表での議席配分を受けられません。