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2013年9月10日(火)

シリア攻撃問題、米孤立

国際会議、支持なく

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 【ワシントン=島田峰隆】米国のオバマ大統領とケリー国務長官は先週、主要20カ国・地域(G20)首脳会議、欧州連合(EU)外相会合にそれぞれ出席し、対シリア軍事攻撃への理解を訴えました。しかし主要同盟国からも支持が得られず、孤立ぶりが鮮明になりました。


 ロシアのサンクトペテルブルクで5、6の両日開かれたG20会議。米国主導の共同声明に、米やG20オブザーバーのスペインを含めて12カ国が賛同しました。といっても声明の内容はアサド政権への「強力な国際的対応」との文言。軍事攻撃への参加や支持を明確にするものではありませんでした。

 実際、署名した国でも、イタリアは軍事攻撃への不参加を通告し、カナダも「軍事攻撃で貢献できることはなにもない。これは精神的な支援だ」と述べるなど、冷ややかな対応が目立ちます。

 ブラジルやロシアなど新興5カ国でつくるBRICSも反対を表明。米紙ニューヨーク・タイムズ7日付は「オバマ氏は軍事攻撃について何の国際的合意をつくり出すこともなく帰って行った」と伝えました。

 ケリー氏は6、7日にリトアニアで開かれたEU外相会合で20カ国以上の外相と会談し、米国の姿勢を説明しました。

 会議がまとめた声明は、アサド政権の責任を追及するものの、軍事行動については化学兵器の使用を調査している国連調査団の報告を待つ必要があると指摘。ケリー氏は7日、パリでの会見で「軍事行動の正当性を全く信じない国もある」と語り、説得が困難だったことを認めました。

 軍事行動への反対が根強い背景には、2003年のイラク戦争の経験などから、外国の介入がシリアの内戦をさらに悪化させることへの懸念があります。

 ルクセンブルクのアッセルボルン外相は6日、「軍事行動を起こすことが本当にシリア国民の利益になるのだろうか。私はそうは思わない」と表明。G20に参加した国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は同日、シリアでは「近年に前例のない人道的危機」が起きており、「無分別な軍事行動は宗派間の暴力を拡大する危険があり、深刻な悲劇的結果を生む」と警告しました。

 オバマ氏は就任後、外交政策では多国間のアプローチを重視するとして、国際社会の反対を無視してイラク戦争を強行したブッシュ前大統領との“違い”を押し出してきました。しかし対シリア軍事攻撃に固執するなかで「オバマ氏は“国連安保理がまひしている”と前任者と同じ不満をそのまま繰り返している」(米紙ワシントン・ポスト)とやゆする声も出ています。


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