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2013年9月2日(月)

主張

「1票の格差」拡大

小選挙区前提にしない改革を

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 今年3月末現在の住民基本台帳にもとづく人口動態が発表され、衆院の小選挙区ごとの人口を試算すると、「1票の格差」が2倍を超す小選挙区が9選挙区に上ることが明らかになりました。安倍晋三政権は今年6月、格差を2倍未満に近づけると称して、小選挙区の区割りを変更する法律を強行成立させましたが、その破綻が早くも鮮明になった形です。選挙区を細分化する小選挙区制を前提にする限り、人口の変動で格差の拡大が繰り返されます。国民の意思を正しく議席に反映させるには、小選挙区制ではなく比例代表中心の選挙制度への改革が不可欠です。

「1人1票」の原則に反し

 人口の最も少ない宮城5区を基準にすると、兵庫6区は2・097倍、愛知12区は2・038倍など、九つの選挙区で格差が2倍を超しています。選挙は「1人1票」が原則であり、格差が2倍を超すというのは1人で2票投票するのと同じです。「すべて国民は、法の下に平等」と定めた憲法14条に反していることは明らかです。

 投票権は、国民の主権者としての最も重要な権利です。だからこそ、全国の裁判所も繰り返し、2倍を超す衆院の「1票の格差」を「違憲」や「違憲状態」と判断し、対策を求めてきました。格差が2倍を超す事態は重大です。

 現在の衆院の選挙制度は小選挙区制が中心で、ひとつの選挙区で1人の議員を選ぶ小選挙区は、大政党に有利で多くの「死に票」が出るうえ、選挙区が細分化されるので人口変動で格差拡大が繰り返されます。それを避けようとすれば同じ市町村を分割するような人為的な区割りにならざるをえなくなる非合理な制度です。

 民意を議席に正しく反映させる比例代表制なら格差拡大も防ぐことができるのに、自民党や民主党などは、大政党に有利な小選挙区制に固執してきました。民主党政権時代に五つの県で小選挙区の定数を1ずつ削減する「0増5減」案を自民党などの賛成で強行し、安倍政権になってから「0増5減」では格差2倍未満が維持できないことが明らかになっていたのに、参院で否決された区割り案を衆院で再議決してまで「0増5減」の区割り案を成立させたのは、大政党の身勝手な横暴です。

 小選挙区の区割りは5年ごとの国勢調査で調整されることになっており、2010年の国勢調査にもとづけば、「0増5減」で格差は1・998倍におさまるはずでした。しかし、その後も地方から都市部への人口移動が続いているため、今年3月の住民基本台帳で試算すれば、格差が2倍を超す結果となったものです。小選挙区制の致命的な欠陥のひとつを浮き彫りにしていることは明らかであり、小選挙区制を前提としない選挙制度改革の検討は急務です。

比例代表中心の制度こそ

 選挙制度のもっとも大切な原則は国民の意思が議会の構成に正しく反映されることです。得票によって議席を配分する比例代表選挙に勝る制度はありません。同時に、「法の下に平等」の原則に照らし、「1票の格差」の拡大を防ぐことも大切な原則です。

 小選挙区制では民意の反映も格差の是正も実現しません。民意の反映のうえからはもちろん、格差の是正のためにも比例代表を中心とした制度を実現すべきです。


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