2013年8月21日(水)
ムシャラフ前大統領を起訴
ブット元首相暗殺めぐり
パキスタン
【ニューデリー=安川崇】2007年にパキスタンのブット元首相が暗殺された事件について、同国反テロ法廷は20日、ムシャラフ前大統領を殺人や共同謀議など三つの罪で起訴しました。軍政が繰り返されてきた同国で、元軍トップが公式に訴追されるのは極めて異例です。
ムシャラフ氏は声明などを発表していませんが、弁護団はメディアに「(同氏に対する)嫌疑はすべて政治的なねつ造だ」と語っており、全面的に争う姿勢を示しています。
ブット元首相は総選挙の選挙運動中だった07年12月に銃撃と自爆攻撃で殺害されました。当時大統領だったムシャラフ氏は反政府武装勢力パキスタン・タリバン運動の犯行とみられると説明。ブット氏に対し、暗殺の危険があることを忠告していたと主張しました。
これに対し国連は10年、この事件の調査報告書の中で、ムシャラフ政権がブット氏を守るための十分な措置を取らなかったと批判しました。ムシャラフ氏はこの報告に「虚偽に満ちている」と反発していました。
同氏は軍トップの陸軍参謀長だった1999年に無血クーデターで文民政権を崩壊させ、01年には大統領を兼任。のちに軍籍を抜いたものの、08年に辞任するまで政権を率いました。今年5月の総選挙に向けて亡命先のドバイから帰国しましたが当局は立候補資格を否定、政界復帰の道は絶たれていました。