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2013年8月14日(水)

主張

介護「軽度」外し

長生き社会の基盤が崩れる

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 自民・公明連立の安倍晋三政権が、介護保険の大改悪に踏み込もうとしています。政府の社会保障制度改革国民会議が、今後の社会保障改悪の“青写真”である最終報告書をまとめたのを受け、安倍政権は「軽度」といわれる人たちを介護サービスから締め出すなどの改悪案づくりを本格化させています。来年の通常国会に関連法案を提出し、再来年(2015年)からの実行を狙います。安心できる老後を支える介護の基盤を掘り崩す大改悪は許されません。

さらに重度化する危険

 安倍政権の社会保障大改悪方針の大本は、昨年8月の国会で自民・公明・民主3党が強行した消費税大増税と社会保障破壊の「一体改悪」の関連法です。関連法の一つ、社会保障制度改革推進法は、社会保障の基本原則を「自己責任」とし、介護保険では「サービスの適正化・効率化・重点化」を強く求めました。高齢者人口が増えるにしたがって増加が見込まれる介護サービス利用を、無理やり抑え込む姿勢を鮮明にしたものです。

 国民会議の最終報告は、推進法にもとづき介護保険大改悪の具体策を次々と盛り込みました。重大なのは、「軽度」の人たちを介護サービスから切り離すことをはっきりと打ち出したことです。

 介護保険では、65歳になると介護保険証が交付されますが、それだけではサービスは使えません。利用したい人が市町村に申請し、必要度に応じ「要支援1、2」「要介護1〜5」の7ランクで認定されて初めてサービスが受けられます。「非該当」となってサービスを認められない場合もあります。

 報告書は、「要支援」と認定された人たち(現在約154万人)を介護サービスの対象から切り離し、市町村が地域の実情に応じて行うボランティア事業などに委ねていくとしました。介護が必要と認定された人たちにサービスを提供しないのは、国の責任放棄です。市町村に体制をつくれる保障もありません。サービスを受ける権利を奪うことは、介護保険への国民の不信を強め、存立そのものを揺るがすことになります。

 「要支援」と認定された人たちは、「軽度」といわれていますが、身体や精神の障害のため日常生活に支障があり、支援がなければ要介護になる恐れがある人たちです。掃除や洗濯、買い物などの援助がないと生活が成り立たない一人暮らしの高齢者がたくさんいます。認知症の人たちもいます。「要支援」の介護外しは、そうした人たちの生きる権利を奪いかねません。

 「要支援」の介護サービスを受けることで、介護度がすすむことを防いでいる高齢者も少なくありません。「要支援」の介護外しは、高齢者の重症化をさらに進行させます。それによって介護保険財政を圧迫する危険すらあります。

破たんの路線の転換こそ

 「要支援1、2」は05年、小泉純一郎政権下の介護保険法改悪で給付削減のために導入されたものです。それまで「要介護」とされた高齢者が「要支援」に変更され、介護ベッド貸与の取り上げや、サービス制限などの被害が続発しました。「軽度切り捨て」の矛盾と破たんは明らかです。

 安倍政権による介護保険制度の破壊を許さず、高齢者も家族も安心できる介護制度への転換こそが急がれます。


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