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2013年7月27日(土)

主張

東電の汚染水流出

原発扱う資格に関わる不誠実

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 東京電力が事故を起こした福島第1原発から放射性物質を含んだ汚染水が海に流れ出ていることがわかっていながら、参院選が終わる今週初めまで公表を控えていた疑いが濃いことが発覚しました。海に流れ出た汚染水は魚や貝を汚染します。あまりに不誠実な東電の態度に、漁業関係者をはじめ住民が猛反発しているのは当然です。東電を含む各電力会社は原発の再稼働を急いでいますが、住民の安全より体面やもうけを優先する企業に、原発を運転する資格がないのは明らかです。事故の収束に全力をあげるとともに再稼働の動きは直ちに中止すべきです。

選挙まで公表しなかった

 事故を起こした福島第1原発には毎日400トンもの地下水が流れ込んでおり、汚染水が海に流れ出る危険は以前から指摘されていました。ところが東電は汚染水が海に流れ出ないようにする抜本的な対策を怠ってきました。原発と海の間に掘られた井戸から検出される放射能の濃度が5月末から急上昇し始め、海中でも新たに放射性物質が検出されたのに、なお流出していないといいはり続ける不誠実で無責任な態度です。

 東電によれば、汚染水が海に流出していることがわかったのは先週だといいますが、公表したのはそれから4日後で、参院選の開票が終わった22日です。原子力規制庁も報告を受けながら黙っていました。参院選などへの影響を懸念して公表を遅らせていたとすれば、それこそ言語道断です。

 事故から2年4カ月以上たってもいまだに収束しない福島原発事故の最大の問題が汚染水への対策です。事故で壊れた原子炉建屋にたまった汚染水は、地下水が流れ込んで増え続けており、放射性物質を完全に取り除く見通しのないまま林立するタンクにあふれています。原子力規制委員会の田中俊一委員長は、濃度を下げたうえで海に放出するのは避けられないと発言、住民感情を逆なでしています。国は東電任せにせず、事故の収束に総力をあげるべきです。

 今回の汚染水流出問題にとどまらず、東電をはじめ電力会社の対応は、福島原発事故の収束さえできていないのに全国の原発の再稼働を急ぐなど不誠実の一語に尽きます。東電までが柏崎刈羽原発の再稼働を画策しています。北海道電力など4社の申請では一部で申請の条件を満たしておらず審査が棚上げされる原発も出ています。敦賀原発の直下に活断層が見つかった日本原電は、原子力規制委に異議を申し立てたうえ、会社存続のため、所有するすべての原発の再稼働を申請しようとするなどまさになりふりかまわぬ動きです。もうけのために国民の安全は無視する電力会社に、これ以上原発の運転を任せることはできません。

安倍政権の姿勢問われる

 問われるのは東電など電力会社の責任だけでなく、原子力規制委員会や安倍晋三政権の責任です。安倍政権は福島原発事故の収束のめどが立たず、汚染水が文字通りたれ流し状態になっているのに、依然として前政権の「収束宣言」を撤回していません。政府や規制委が示した新基準も、まさに「はじめに再稼働ありき」の代物です。

 政府の責任で事故の収束に全力をあげさせるとともに、原発再稼働の企てを中止し、原発からの撤退を進めさせることが重要です。


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