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2013年7月16日(火)

きょうの潮流

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 〈これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたのすきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりません〉(『注文の多い料理店』序)▼『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』などの童話や、『春と修羅』などの詩集で親しまれている宮沢賢治(1896〜1933)の没後80年を記念した展覧会が東京・世田谷文学館で始まりました▼東日本大震災後、岩手県出身の賢治の「雨ニモマケズ」の詩は改めて注目され、被災地の復興を願って繰り返し朗読されています▼賢治の生きた時代にも2度、三陸大津波に襲われた岩手県。天災と凶作に苦しむ故郷に「イーハトーブ」と名付けた理想郷を実現するため、農作業を行いながら地学者として農民を指導し、作品に夢をつづりました▼記念講演「祖父・清六から聞いた兄・賢治」で、大おいの宮沢和樹さんが語った賢治の人生は印象的です。「『雨ニモマケズ』で一番大事なのは“行ッテ”という言葉だと祖父は言っていました。困っている人がいたら、自分が出向いて助ける。実践することが大事なんだと」「イーハトーブとは、自分が今生きている場所を理想郷にしていく努力をすることにほかならない、と賢治さんは話していたそうです」▼肺の病気が悪化して37歳で亡くなる直前まで、農作物の実りが豊かであるよう願っていたと。〈世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はありえない〉(『農民芸術概論綱要』)。思いを受け継ぐ7月です。


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