2013年7月12日(金)
エジプト 同胞団が入閣拒否
検察 最高指導者ら逮捕へ
【カイロ=小泉大介】エジプト軍によって解任されたモルシ前大統領の出身母体であるイスラム主義組織・ムスリム同胞団は10日、暫定政権が表明した入閣要請を拒否する姿勢を示しました。同日には、検察当局が同胞団最高指導者の逮捕を命じるなど、混乱は今後もつづく可能性があります。
マンスール暫定大統領によって9日に任命されたビブラウイ首相は10日、組閣作業を本格化。数日中には完了したいとしています。
ムスリム同胞団に対する入閣要請方針は、暫定大統領と首相の双方が10日までに示したものですが、同胞団報道官は外国メディアに対し、「われわれはクーデターを行ったものたちとは取引しない」と表明。暫定政権側との和解協議についても「見当違いだ」と拒否する構えです。
ムスリム同胞団やその支持者は、イスラム教の断食月ラマダンの開始日となった10日も首都カイロ郊外などでデモや集会を行い、「モルシ大統領が復職するまでここにとどまる」などの声を上げました。
一方、エジプト検察は10日、独自の捜査をふまえ、治安部隊との衝突を扇動した容疑で同胞団の最高指導者バディア氏ら複数の幹部の逮捕を命じました。衝突は8日にカイロの共和国防衛隊本部前で起きたもの。同胞団デモ隊と治安部隊との間の銃撃で、ロイター通信によるとこれまでに治安部隊4人を含む57人が死亡しました。
同事件に関しては、デモ隊側が先に銃撃を加えたとする軍側の主張と、軍による無差別攻撃であり「大量虐殺」だという同胞団側の言い分が真っ向から対立していました。