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2013年6月24日(月)

主張

労働者派遣の緩和

正社員雇用の流動化に道開く

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 政府が「成長戦略」にもりこんだ雇用の「規制改革」は、正社員雇用の流動化を最大の目標にしています。「産業の新陳代謝」「成長分野への労働移動支援」などのかけ声で、企業が正社員の削減、転職、契約変更をより自由にできるようにすることです。その手段の一つとして労働者派遣制度の根幹を見直し、正社員を切り捨てて派遣労働者に置き換える道を開こうとしているのが重大です。企業による違法、脱法だらけの「人間使い捨て」が問題になっている派遣労働を、これ以上野放しにさせてはなりません。

派遣期間を無制限に

 最も重要な見直し点は、「常用代替防止」という派遣法の根幹を崩すことです。本来、雇用は、期間の定めのない正社員雇用が原則です。その立場から、派遣は正社員の代わりに使ってはならず、あくまでも「臨時的・一時的業務」にかぎります。それを担保するために原則1年、最大3年という派遣可能期間が定められ、これを超える場合は、正社員にするというのが法律の立場です。これが「常用代替防止」の意味です。

 政府の「規制改革会議」は、この派遣法の根幹を「正社員の保護を目的」としていると攻撃します。あげくに非正規雇用が全体の4割近くになった現在、派遣だけ規制するのは一貫性を欠くとまで主張しています。これは極めて乱暴な議論です。

 派遣労働は、勤務先の企業とのあいだに「派遣会社」が介在する「間接雇用」で、勤務先の企業は雇用責任を負わないという不安定な働き方です。派遣元と派遣先が結託した違法、脱法の横行、派遣先企業の都合で簡単に「派遣切り」されるなど、モノのように扱われる実態はすでに広く知られています。このような雇用形態が無秩序に広がらないように規制するのは当然です。むしろ、いま求められているのは派遣労働者を保護する方向での抜本改正です。

 派遣の「常用代替防止」という根幹を破壊し、原則1年、最大3年の派遣可能期間を撤廃することは、企業にたいする歯止めをなくしてしまう大問題です。企業は、正社員を切り捨てて、恒常的な業務に期間制限を心配することなく派遣を導入することができます。雇用の不安定化が大規模にすすむことが懸念されます。

 もう一つ重要なのは、派遣の上限設定の対象を「業務」から「人」に変えようとしていることです。現行派遣法は、派遣の上限を「業務」に設定しており、最大3年を超えたら、その業務に派遣を使うことはできません。それを「人」に変えると、労働者を取り換えればいくらでも派遣を継続できることになります。企業の利益のために、派遣労働を最大限、使い勝手のいいものにしようとする醜い悪知恵というほかありません。

不当な差別をなくす

 労働者派遣法は、2008年秋の大量「派遣切り」で「年越し派遣村」がつくられるなど、非人間的な扱いが社会問題になって以来、派遣労働者を保護する方向での「抜本改正」が求められてきました。これに逆行する政府の「成長戦略」に反対し、派遣労働者をはじめ非正規雇用労働者の権利が守られ、不当な差別を受けずに働く労働条件実現にむかって運動を強めることが重要になっています。


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