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2013年6月21日(金)

主張

発議要件「緩和」

改憲に固執する画策許さない

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 安倍晋三首相がヨーロッパ訪問中の記者団との懇談で、首相が就任以来固執している憲法改定の発議要件の「過半数」への「緩和」について、「平和主義、基本的人権、国民主権は現行に据え置くことも議論する」と発言しました。多少目先を変えながら、発議要件の「緩和」はあくまで実現し、それを突破口に改憲をすすめる態度です。首相は参院選ですぐには改憲に必要な「3分の2」が確保できなくても、日本維新の会やみんなの党に加え、「民主党の中にも条文によっては賛成する人がいる」と発言しています。改憲実現になりふりかまわぬ姿勢です。

96条改定の焼き直し

 憲法96条で、改憲の発議には衆参両院の国会議員の「3分の2」以上の賛成が必要となっているのを「過半数(2分の1以上)」に変えようというのが発議要件の「緩和」です。発議要件の「緩和」も改憲です。自民党は昨年発表した改憲案でも発議要件の「緩和」を盛り込んでいますが、安倍首相はそれだけを切り離し、96条改定を「先行」させることを持ち出して国民の批判をあびてきました。

 発議要件の「緩和」は、単なる手続きの問題ではありません。改憲の発議が国会議員の「過半数」で決められるようになれば、ときの政権や国会での多数党の思うとおりの改憲がやりやすくなります。権力の勝手な行動を縛る憲法の立憲主義を、根底から脅かすものです。改憲に反対する立場からだけでなく、いわゆる「改憲論者」からも改憲の「裏口入学だ」などの批判の声が上がるのは当然です。

 世論の批判の前に安倍首相のもくろみどおりには進んでいませんが、そうやすやすとあきらめたわけではないことを浮き彫りにしたのが今回の首相の発言です。改憲の発議要件を「過半数」に引き下げるものと、人権など現在のままとするものに分ければ、「緩和」のための改憲がより実現しやすくなるという計算です。

 安倍首相は今月の月刊誌(『ボイス』)でもこうした考えを主張しており、こうした策略は軽視できません。96条改定の「先行」に消極的といわれてきた公明党も、発議要件を分けることで「緩和」を容認する姿勢を取る可能性があり、首相の発言はそうした公明党への配慮もにじませたものです。

 もちろん、発議要件の「緩和」の中身を若干手直ししても、96条を改定し、改憲の発議要件を「緩和」すること自体が立憲主義の原則を否定するものであることに変わりはありません。多少譲歩しても96条改定を先行させれば国民を改憲でなれさせることができ、戦争を放棄した9条などの改定がやりやすくなるという思惑も無視できません。96条改定の企てに警戒を緩めないことが重要です。

改憲の「多数派」許さず

 安倍首相が連立与党の公明党や改憲で一致する維新やみんなだけでなく「民主党の一部」まで名前をあげて、参院選後の国会で多数派を形成し、改憲を進める狙いを明言したことは重大です。

 自民党は参院選の公約に改憲を盛り込もうとしており、安倍首相が選挙後、憲法改定の狙いをむき出しにしてくるのは確実です。参院選でも東京都議選でも、憲法を破壊する勢力にきびしい審判を下し、憲法を守り生かす日本共産党を伸ばすことが重要です。


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