2013年6月11日(火)
首相が「国民年収150万円増」
官房長官 「分かりやすく説明」
市田氏 「幻想ふりまいてる」
安倍晋三首相が東京都議選の応援演説で、「10年間で国民の平均年収を150万円増やす」と実際の成長戦略と異なる説明を繰り返して批判されていることについて、菅義偉官房長官は10日の記者会見で「首相は分かりやすく説明しようとしたんだろう」と釈明しました。
政府の成長戦略で「150万円以上」増やすとしているのは1人当たりの国民総所得(GNI)です。GNIには企業の海外でのもうけも含まれるため、仮にGNIが増えても国民の所得が増えるとは限りません。小泉内閣(2001年4月発足)の5年間では1人当たりのGNIは18万円増えましたが、1人当たりの賃金は16万円減っています。企業が国内での人件費を抑えて利益を確保し海外でもうければ、国民の所得は減ってもGNIが増えることはありえるのです。
街頭で首相は、「年収」「平均年収」「1年間の年収」「みなさんの所得」と、「国民の総所得」以外の言葉にいいかえコロコロ説明を変えましたが、どれも間違いです。首相の演説はGNIを「わかりやすく説明」するどころか、ごまかしです。
日本共産党の市田忠義書記局長は10日の記者会見で、首相の“GNI150万円増”発言について、「国民総所得には企業が海外でつくり出した付加価値も含まれる」と述べ、日本国民と日本経済に責任をもたない多国籍企業の利益を優先するカラクリだと指摘。「まるで国民の収入が150万円増えるかのような幻想とうそを振りまくことは許されない」と批判しました。