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2013年6月6日(木)

治安部隊の弾圧つづく

トルコ 反政府デモ6日目

労組は抗議のスト突入

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 【カイロ=小泉大介】トルコの反政府デモに対する治安部隊の弾圧は、発生から6日目となった5日も続きました。副首相が前日4日、弾圧を謝罪しましたが、現場の対応に変化は見られません。弾圧による負傷者が数千人に達するとの情報もあります。主要労組は4日、2日間の抗議のストに突入しました。


 ストを実施したのは、24万人の組合員を擁する左派系の公務員労組です。声明で「首相は民主主義の権利を行使した数百万の国民を、一握りの略奪者として描くほど愚かになってしまった」とエルドアン首相を批判しました。ストには他の労組も加わる動きを見せています。

 外遊中の首相に代わって4日に会見したアルンチ副首相は、「環境保全のために行動した人々に過度の暴力を行使したことは誤りだった」「政府は今回の事態から教訓を学んでいる。民主主義は反対意見なしには存立することはできない」と述べました。

 全国約70都市に広がった一連の反政府デモの発端は、5月31日に最大都市イスタンブール中心部で、再開発のために公園の木を伐採する計画に反対する市民を警官が強制排除したことでした。またたく間に全土に広がった抗議行動を、治安部隊は催涙ガスや放水で弾圧。これ以後、抗議行動は反政府デモの性格を色濃くし、参加者は「首相は辞任せよ」「世俗国家としてのトルコを守れ」などのスローガンを掲げて対峙(たいじ)しています。

解説

デモ拡大の背景は

 トルコは人口の99%がイスラム教徒ですが、1923年に共和国となって以降、政教分離にもとづく厳格な世俗主義を国家原則としてきました。

 しかし2002年から現在まで続いているイスラム主義政党・公正発展党(現在、国会定数550のうち326議席を占める)の政権下、大学で禁止していた女子学生のスカーフ着用を容認するなど「イスラム化」が進行。最近も酒類販売を規制する法律が制定されたり、モスク(イスラム教寺院)の建設が加速されるなどし、世俗派国民の反発を呼ぶ事態が起きていました。

 さらに来年には大統領選挙が実施される予定ですが、エルドアン首相がこれへの出馬とともに、政治体制を議院内閣制から大統領制に変更することを目指していると伝えられていることも、今回の抗議行動拡大の背景にあると見られます。

 トルコでは公正発展党の長期政権が「イスラム化」を進める一方で、軍部が世俗体制守護の役割を自任しています。政府と世俗派国民との対立がさらに激化した場合、1960、80年と過去に2度のクーデターを起こした軍が介入する可能性も否定出来ません。 (小泉大介)


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