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2013年6月5日(水)

市販薬ネット販売 99%超解禁の方針

医療団体は薬害を懸念

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 安倍内閣は、一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売解禁について詰めの作業を進めています。菅義偉官房長官や田村憲久厚生労働相ら4閣僚は4日、首相官邸で協議し、市販薬約1万1400品目の99%超のネット販売を可能にする方針を確認しました。

 安倍内閣は、副作用のリスクが最も高いとされる「第1類」、それに次ぐ「第2類」のネット販売を禁止した厚生労働省令を改定し、ネット販売を拡大する一方、利用者の安全を考慮して全面解禁は見送る考えです。具体的には、医療用処方薬を転用した市販薬について、安全性を再評価した上で、危険性が高いと判断されればネット販売の対象から外すとしています。

 協議には菅長官、田村厚労相のほか、甘利明経済再生相、稲田朋美行政改革担当相が出席。菅長官はこの後の記者会見で「(今月14日の)成長戦略策定までの間に速やかに取りまとめたい」と強調しました。安倍晋三首相も同日午前の参院経済産業委員会で「新たなルールを早急に策定する」と語りました。

 現行法は、1類について購入者に文書で説明することを義務付け、2類にも情報提供の努力義務を課しています。省令はこれに加えて薬剤師などによる対面販売の義務付けを盛り込み、1類、2類のネット販売を禁じましたが、最高裁は一律に禁止する省令は無効との判決を下し、事実上の全面解禁状態が続いています。政府の規制改革会議も、省令が「消費者の利便性を阻害する」などとして全面解禁を求めています。

 市販薬のネット販売解禁について、医療関係者からは「安全よりも営利を優先していると言わざるをえない。薬害が増加することが懸念される」(全国保険医団体連合会)との声があがっています。

 市販薬による薬害事件として、胃腸薬キノホルムによるスモン病や、睡眠薬サリドマイドを妊婦が服用したことによる新生児の肢体障害が広く知られています。また、一般的な風邪薬によるスティーブンス・ジョンソン症候群や胃かいようなど重篤な副作用被害も起こっています。

 保団連は、少なくない薬害を教訓として「医薬行政は国民のいのちと安全を第一義とすべき」だとして、安全確保のルールを法律上で明確にしたうえで、離島・へき地ややむをえない場合などを除いて、インターネット販売は原則認めないよう強く求めています。


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