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2013年6月2日(日)

主張

安倍「成長戦略」

くらしの成長が見えてこない

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 安倍晋三政権が「3本の矢」の経済政策の3本目として放つ「成長戦略」の骨格が産業競争力会議(議長・安倍首相)でまとまりました。「企業が世界一活躍しやすい国」をめざすということば通り、内容は、財界、大企業が国内、海外で利益を拡大する支援策を網羅したもので、労働者の賃上げ、安定した雇用の確保、くらしの成長で「デフレ不況」から脱却する立場がありません。株価の乱高下にみられる投機とバブルをあおる金融政策の危うさに加えて、実体経済の改善など眼中にない「成長戦略」に踏み込めば、国民生活は大変なことになってしまいます。

政府がトップセールス

 「成長戦略」は、6月上旬に素案をまとめ、14日の閣議決定を目標に作業がすすんでいます。明らかにされている骨格は、「産業再興」「戦略市場創設」「国際展開」の三つのアクションプランからなっています。グローバル競争に勝ち抜ける製造業の復活支援や世界市場へのトップセールスの展開など、政府あげて企業活動を支援していこうとするものです。

 安倍首相が、財界代表を引き連れて中東諸国やインドなど各国との会談を重ね、東電福島第1原発事故の反省もなく原発輸出に動き出したのは、「成長戦略」の先取りといえる異常な行動です。

 安倍首相や財界は、企業活動を活発化する基盤整備、技術支援などをおこない、企業の収益が拡大すれば、やがて賃金・雇用に反映し、消費拡大で好循環がつくられるといいます。

 これは幻想にほかなりません。小泉純一郎内閣時代の2002年から第1次安倍内閣をはさんで戦後最長の景気拡大期がありました。株価が上がり、企業が巨額の内部留保をため込みましたが、賃金は逆に下がり、とくに派遣労働など非人間的な扱いの非正規雇用が増加し、貧困と格差の拡大が社会問題になりました。

 安倍政権には当時の反省がまったくありません。今回の「成長戦略」には、「企業が世界で一番活躍しやすい国」をつくるために、労働者の状態をさらに悪化させる賃金と雇用制度の破壊さえもりこまれようとしています。

 「正社員」というのは名ばかりで、賃金が安くて解雇しやすい「限定正社員」(ジョブ型正社員)の制度化、雇用を守る企業を支援する雇用調整助成金を、雇用を打ち切り、労働移動しやすくする助成金に変更する、労働者派遣を大々的に利用しやすくするための規制緩和などです。まさに労働者にとって「次元を超えた」打撃になることはあきらかです。企業の業績がよくなっても、労働者の低賃金、非正規雇用化がすすみ、リストラで会社を追われる不安がますます広がりかねません。

内部留保を国民のために

 漁民やトラック業者が急激な円安による燃費高で生活危機に陥り、各地で抗議の声をあげるなど、安倍政権の経済政策への怒りが高まっています。間違った政治を一刻も早く改める必要があります。日本経済を立て直すために重要なのは、財界・大企業への支援ではなく、大企業が使い道もなくため込んでいる260兆円もの巨額の内部留保の一部を賃金や安定した雇用、国民生活のために活用することです。それこそいま政府がとるべき一番の対策です。


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