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2013年5月14日(火)

矛盾深める96条先行改定論

「国民投票で否決されたら…」

政権中枢から「慎重」姿勢

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 安倍晋三首相や日本維新の会が主張する、憲法改定の要件を定めた憲法96条の先行改定論に、内外から批判が強まり、政権中枢から「慎重」姿勢を示す発言が出始めるなど矛盾を深めています。


 安倍首相は10日のテレビ番組で「(96条改定について)国民的議論が深まっているかといえば、そうではない」と発言。また自民党の河村建夫選対委員長は11日、「改憲は国民の過半数が賛成しないとできない。否決されたら内閣不信任に等しい課題だから考えながらやらないといけない」と発言したと報じられています。

強引にできない

 また、自民党憲法改正推進本部の船田元・本部長代行(衆院議員)も「憲法をどのように改正するのかがはっきりしないまま、96条改正というと、不安が先行する可能性がある。もし国民投票で否決されたら、解散も避けられず、憲法改正そのものも相当先送りされかねない」と“懸念”を表明しました。同推進本部関係者の一人も「保利耕輔本部長も慎重だ。特にここへ来て批判が強くなっている。参院選挙のことを考えても強引なやり方はできない」と述べます。

 菅義偉官房長官は9日の会見で、こうした流れを受け「96条について(国民的理解を)得られている段階ではない」としたうえで、「環境権とセットで」という意見を念頭に「理解を得られる部分から(改定を)ということも一つの考えだ」と述べました。一方、自民党の石破茂幹事長は、「複数項目を一度に出すと『これは賛成だが、これは反対』との意思表示がありうる。96条は他の条項と少し性格が異なり、もう少し深い議論が必要だ」と発言(11日)するなど、党内の混迷も見せています。

「改憲派」も反対

 こうした動きは、96条改定論が持つ根本的矛盾そのものの現れです。

 改定手続きの緩和から改憲するという動きは、時の権力者が都合のいいように憲法を変えやすくする危険があり、主権者国民が国家権力を縛るという憲法の本質を否定するものです。「改憲派」を自認する憲法学者からも、「憲法が憲法でなくなる」「改正論としては邪道」と厳しい批判が出るように「非常識な憲法論」です。

 消費税増税やTPPなどで安倍政権を後押しする大手メディアからも、「多数派が一時的な勢いで変えてはならない普遍の原理を定めたのが憲法なのであり、改憲には厳格な要件が必要だ」(「毎日」3日付)、「一般の法改正と同じように発議でき、権力の歯止めの用をなさない」(「朝日」3日付)という批判が出ています。憲法記念日を前に96条改定を社説で論じた地方・ブロック紙のほとんどが96条改定に危惧を表明しました。

 与党・公明党も「先行改正には慎重」(9日、衆院憲法審査会)といわざるを得なくなりました。


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