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2013年5月8日(水)

与党議席が過去最低

マレーシア総選挙 野党は89議席

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 【ハノイ=面川誠】マレーシア下院(定数222)の総選挙が5日に投票され、統一マレー国民組織(UMNO)を中心とする与党連合「国民戦線」が過半数の133議席を獲得し、1957年の独立以来の政権を維持しました。議席数は前回2008年の140を下回り過去最低を更新。与党幹部は現地記者団に、所得格差の拡大や民主化の遅れが与党離れを加速させていると認めました。

 ナジブ首相は6日に2期目の首相宣誓式を行いました。一方、前回を上回る89議席を得ながら政権交代を果たせなかった野党連合「人民同盟」は、不正選挙による結果だと主張し、指導者のアンワル元副首相は「選挙結果を認めない」としています。

 マレーシアの国民構成はマレー系(人口の68%)、華人(中国人)系(同24%)、インド系(同7%)などです。国民戦線はUMNOのほか、マレーシア華人協会(MCA)、マレーシア・インド人会議(MIC)などで構成。教育、公務員就職、公共事業配分でマレー系を優遇する「ブミプトラ政策」によってマレー人の政治的優位を確保してきました。

 前回に続き国民戦線は華人系の票を大量に失い、MCAの議席は15から5に激減。ナジブ首相は記者会見で「華人の津波が起きた」と述べ、民族間の亀裂に危機感を示しました。

 一方、民間研究団体「CENSE」のリタ・シムさんは現地紙に「有権者の与党離れは華人系だけの問題ではない」と述べています。「経済成長に伴い都市部で増えている中間所得層は、マレー系、華人系、インド系を問わず変化を求め、野党に共感している」と指摘、低所得労働者も格差の拡大に不満を募らせていると言います。

 選挙結果を見ると、首都クアラルンプールや工業地区の多いセレンゴール州では、人民同盟が圧勝しています。人民同盟は汚職や縁故主義のまん延によって経済的利益が労働者に回らない現状を批判、さらに政府系にほぼ独占されている報道の自由拡大などを訴えて支持を広げました。

 マレーシアの1人当たり国内総生産(GDP)は9941ドル(11年)に達しますが、所得格差を示すジニ係数は0・43(12年)で、社会不安要因になる目安の0・4を超えます。

 ナジブ政権は今年から法定最低賃金制度を導入し、所得の底上げを図っています。マレーシア労働組合会議のゴパル書記長は1日のメーデー集会で「最低賃金を履行しない経営者が多すぎる。法を守らせない政府には権力の座にある正当性がない」と批判しました。


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