2013年5月8日(水)
シリア「軍事報復も」
イスラエル空爆で42人死亡
人権監視団発表
【カイロ=小泉大介】英国に拠点を置く「シリア人権監視団」は6日、イスラエル軍がシリアの首都ダマスカス近郊で5日に行った空爆により、少なくともシリア軍兵士42人が死亡し、100人が行方不明になっていると発表しました。6日にはイスラエルが占領するシリア領ゴラン高原に迫撃砲2発が撃ち込まれるなど緊迫した状況がつづいています。
各種情報によれば、イスラエル軍は3日と5日に連続してシリア空爆を実施。いずれも隣国レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラへのイラン製ミサイル移送を阻止する理由で行い、3日にはダマスカス空港施設を、5日には首都近郊の軍施設を標的にしたとされます。
イスラエル政府や軍は空爆の事実を認めていませんが、シリアのゾアビ情報相は5日の会見で「攻撃はすべての可能性の扉を開いた」と述べ、軍事報復の可能性を示唆。イランのファルス通信によれば、同国の軍高官も「イスラエルに抵抗している勢力はイランからの武器援助など必要としていない」と激しく反発しました。
またロイター通信の6日の報道によれば、イスラエル軍の領空侵犯に抗議しているレバノン政府は国連安全保障理事会に対し、「イスラエルによる主権の侵害をやめさせ、安保理決議1701にもとづくあらゆる義務を履行させる」ための措置を求める書簡を送りました。
安保理決議1701(2006年8月)は、イスラエル軍が自軍兵士をヒズボラに拉致されたことを口実に強行したレバノン大規模攻撃の停戦を定めたもの。「イスラエル軍とヒズボラ双方の敵対行為の全面停止」「イスラエル軍の完全撤退」などを要求しています。